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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百三十四 SANA編 「怠惰というもの」

八月九日。火曜日。晴れ。




子宮頸がんワクチンについては、二年生になるまでに三回、打つことになる。ただ、三回目は基本的に半年後ってことらしいから、もしかすると二年生になってからって可能性もある。そうなるともう公費負担は受けられなくて自費での接種になるけど、それは決断が遅かった親である僕と絵里奈の責任だから構わない。千早ちはやちゃんの分を出すことになる山仁やまひとさんもそれは覚悟してるって。実は千早ちゃんの母親は何も言わなくて、沙奈子が打つことにしたのに合わせて彼女が自分で決断したのを山仁さんがサポートする形に。


その一方で、子宮頸がんワクチンを受けなくても子宮頸がんになるとは限らないから、副反応が出る可能性を重視して受けないという選択をする人がいてもそれは自由だと思ってる。ワクチンを接種しても、『百パーセント子宮頸がんにならない』というわけじゃないしね。


ただ、僕は、これまでにも沙奈子を扶養するにあたって、『児童扶養手当』とか『就学支援』とかの公的支援を受けてきてるから、


『政府や行政は何もしてくれない』


というのはピンとこないんだ。確かに何でもかんでもはしてくれないかもしれないけど、世帯年収が一千万円を超えた今じゃほとんど何も受けられてないかもしれないけど、少なくとも沙奈子と二人で暮らしてた頃にはかなり助かってた実感があるんだよ。鷲崎わしざきさんも、今より仕事が少なくて収入が少なかった頃には児童扶養手当を受給してたそうだ。


それに、『政府や行政は何もしてくれない』とか言ってる人たちだって、利用できる制度があれば利用するよね?。と言うか、利用したことは本当にないの?。


僕も、政府を全面的に信用してるわけじゃないけど、実際に制度を利用してるんだから、『政府や行政は何もしてくれない』とまでは思ってないよ。政治家個人にはとても信用できないなと感じる人も少なくないし、政策とかについても『もっとこうなってくれればいいのにな』とは思ってたりするけどね。


だからと言って、『自分の要求のすべてが受け入れられないから全否定』というのもおかしいと思ってるだけなんだ。


これからも、利用できる制度があれば利用する。そのために情報は確認する。自分は何もしないのに政府や行政が何でもかんでもしてくれると考えるのは怠惰というものだと思う。


『SANA』の業績はおおむね好調だから、それどころか海外への輸出が順調なこともあってほぼ横ばいからやや上昇傾向にあるくらいだから、今は『持続化給付金』も受けてない。でも、必要となれば躊躇うことなく申請しようと絵里奈や星谷ひかりたにさんとも話し合ってる。


とにかく、この世というのは何でも自分の思い通りにはいかないのが当たり前なんだ。僕たちがそれをわきまえてないと、玲緒奈れおなも、


『何でも自分の思い通りになるのが当たり前って考える大人』


になってしまうだろうなってすごく感じてる。



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