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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百三十一 SANA編 「直した方がいい」

八月六日。土曜日。晴れ。




昨日、沙奈子は絵里奈や玲那と一緒に『SANA』に出勤してた。


「どうだった?」


帰ってきた沙奈子に尋ねると、


「普通……」


と、相変わらずの返答。彼女のことをよく知らない人が聞いたら、『普通ってなんだ!?』みたいにキレることもあるかもしれないけど、別にネガティブな意味じゃないことを知っている僕は特に気にならない。ならないけど、


「普通ってことは、問題なかったってことだね?」


改めて確認する。それに対しては、


「うん」


だって。そして僕は、


「僕たちの間では『普通』でも伝わるけど、もし他の人に聞かれた時にはもう少し具体的に応えた方がいいかもね」


とは諭しておいた。これについても彼女は、


「分かってる……。でも、つい言っちゃうから……」


さすがにもう沙奈子自身もそういう言い方じゃ具合が悪いこともあるのを分かってくれてるみたいだ。学校でも千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや一真かずまくんのフォローがあるから何とかなってるのもありつつ、直しておかないとと思ってくれてるのが分かる。とは言え、さすがに簡単じゃないよね。


ただ、『直した方がいい』と本人が思ってくれてるだけでも大きな成長って気がする。世の中には、自分の振る舞いが他の人にとって不快だったりすることを理解しようともしない人も少なくないからね。特に今は、ネットとかでそういう振る舞いが問題になってるみたいだし。誰を不快にさせても自分の鬱憤晴らしだけが大事だっていう人は、本当にそれでいいと思ってるのかな。沙奈子でさえ今の自分の振る舞いが必ずしも好ましいものじゃないのは分かってるのに。


それでも、沙奈子のは、わざと誰かを傷付けようとしてのものじゃないのも確かなんだ。彼女の言い方だとカチンとくる人がいるかもしれないっていうだけで。


なのに、明らかに他の誰かを傷付けようという意図でもって強い言葉を使ってる人らは、自ら幸せを投げ捨ててることにどうして気付かないんだろうな。そんなことをしてたら嫌な思いをした人から反論だったり反撃だったりがあって当然なのに。そういうのがあったらまた鬱憤が溜まるだけだよね?。


僕たちは、もし嫌な思いをすることがあったとしても、家に帰ってきたら忘れられるようにしようと、ホッとできて嫌な気分も解消できる環境を守っていこうと思ってる。他の人に強い言葉をぶつけて鬱憤晴らしをしなくて済むように。実際、沙奈子も絵里奈も玲那も、千早ちゃんも大希くんも結人ゆうとくんも一真くんもそんなことをせずに済んでいる。琴美ことみちゃんと篠原しのはらさんについてはまだよく分からないけど、そんなことをせずにいられるようになってくれてたらいいな。



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