表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2230/2601

二千二百三十 SANA編 「ちょうだい!」

八月五日。金曜日。曇り時々雨。




連日の猛暑・酷暑はありつつも、『SANA』の本社の方はすっかり順調に機能してるらしい。例の騒動以降、いきなり押しかけてくるお客も今のところはいないって。


「もしそういうのがいても体裁を保てるようにしたんだけどなあ」


玲那は苦笑い。僕はまだ見てないけど、山下典膳やまもとてんぜんさんのところの山下やましたさん監修の下で設置されたミニギャラリーも上々の出来で、実は、


「毎日、山下典膳さんのドールをじっくりと見られて眼福です♡」


絵里奈が一番喜んでるっていうね。だから今日は、夏休みの課題も完全に終わらせたこともあって、朝から沙奈子も一緒に自転車で『SANA』の本社に出勤してる。ドレス作りも向こうでするから、帰りも三人一緒だ。


つまり、沙奈子と絵里奈と玲那が帰ってくるまで僕と玲緒奈れおなは二人きりだ。だけど玲緒奈も、絵里奈や玲那がいないことにも慣れて平然としてる。待ってれば帰ってきてくれるのが分かってるんだ。


玲緒奈の食事については、絵里奈が用意してくれたのが冷蔵庫に入ってるからそれをレンジで温めて食べればいい。僕の分も、玲緒奈のメニューに合わせたものが用意されてる。本当は僕が自分で用意してもよかったんだけど、僕が別のものを食べてると気付くと玲緒奈が欲しがるんだ。


「パパ!。ちょうだい!」


って言って。


他の人はそういうところも『我儘』だと感じるかもしれないけど、僕はそうは思わない。単純に彼女はまだ幼くて未熟だからその辺りの線引きが上手くできてないだけなんだ。僕たちの振る舞いを見ている間に徐々に学んでいってくれるのが分かるから、焦る必要はない。


大人でもいるよね?。自分の要求ばかり一方的に通るのが当たり前だと考えてる人。自分の行いだけが許されて当然だと思ってる人。そういう人は赤ん坊と同じだと僕は思う。そういう人も別に周りの大人に厳しくされてこなかったわけじゃないと感じる。むしろ逆かな。


『自分以外の人には厳しいけど、自分には甘い』


そんな大人の姿を見て育ってきたんだろうなって考えると腑に落ちるんだ。むしろそうじゃないと説明がつかないよ。玲緒奈がそれこそおっぱいを要求したりおしっこやうんちが出たと一方的にぐずってたのがだんだん緩やかになってきてる理由が。『パパ!。ちょうだい!』と言ってたって、別に泣き喚いてるわけじゃないからね。どうしても玲緒奈にはまだ早いものだったりしたら、


「ごめんね。これはまだ玲緒奈には美味しくないから」


って言うと、すごく不機嫌そうにはなりつつも、


「ぶーっ!」


と不満そうにはしつつも、分かってくれるし。それでも、いつもいつもだとさすがにと思うから、そうならないようにメニューを揃えるんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ