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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百二十七 SANA編 「矜持の問題」

八月二日。火曜日。晴れ。


猛烈な暑さ。熱中症に厳重注意する。




僕たちの周りでは、『恋愛関係』というものは、正直言って希薄な気がする。僕は絵里奈のことを愛してる。絵里奈も僕のことを愛してくれてる。その一方で、玲那も以前はある程度は僕のことを異性として意識していたこともあったけど、自分が本当は『理想の父親』として僕のことを見ていたのを自覚してからは、完全に僕を父親としか見ていないのが分かるようになってしまった。


だからやっぱり、星谷ひかりたにさんが大希ひろきくんのことを『恋愛感情として好き』という以外は、イチコさんにも波多野さんにも田上たのうえさんにもまったくそういう気配がない。


これについてイチコさんは、


「いや~、マジでそういうのよく分かんなくて。どうでもいいって感じ」


とそれこそ平然としてて、波多野さんも、


「正直、今は考えられないですね。こう言っちゃなんですけど、嫌悪感しかない」


と、お兄さんの事件のこともあってかむしろ遠ざけようとしてるし、田上さんは、


「私も、両親を見てると夢も希望も持てません。山下さんと絵里奈さんは素敵だと思うんですけど、相手がね……」


と、完全に諦めムードで。


他は、鷲崎わしざきさんが喜緑きみどりさんと順調に交際を続けてるらしいっていうくらいかな。ただ鷲崎さんと喜緑さんについても、


「喜緑さん……の仕事だけじゃ生活できなそうってことで、なんか向こうが尻込みしてるみたいだな」


というのは、二人を見ている結人くんの弁。以前は『あいつ』とか『あの人』とか呼んでたのをちゃんと『喜緑さん』て呼ぶようになってたのに少し驚きつつも、


「そうなんだ……」


ちょっと心配になったり。鷲崎さんは、


「私も働きますから。山下さんとこと同じようにすればいいですから」


って言ってるらしいんだけど、喜緑さんとしてはそれじゃ申し訳ないという気持ちがあるみたいだね。それは決して鷲崎さんに対して『仕事を辞めてほしい』と思ってるってことじゃなくて、『矜持』の問題らしい。


だけどそれで言ったら僕だって絵里奈だけじゃなく玲那にまで働いてもらっての、さらに今じゃ沙奈子までアルバイトをしてのこの生活水準だから、今の時代としては別にそこまで拘ることじゃないんじゃないかなと感じなくもない。


ただこれもそれぞれ思うところもあるだろうから、余人が口出しすることじゃないんだろうなとは思いつつ、


「正直言って、気にし過ぎだと俺は思う。おデブは今すぐでも結婚していいと思ってんだからそんなウジウジしてたらそのうち愛想尽かされんじゃねーかな」


結人くんがそう言うのにも、


『確かに……』


みたいに思ってしまったり。


なんてこともありつつも、沙奈子も千早ちはやちゃんも大希くんも結人くんも一真かずまくんもまったく意識してる気配がないから、印象が薄いのかな。



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