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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百二十六 SANA編 「恋模様」

八月一日。月曜日。晴れ。




いよいよ八月。沙奈子たちは早々に夏休みの課題のほとんどを終わらせてた。


「こんな風に簡単に終わらせられるもんなんだな……!」


一真かずまくんはそう驚いてた。これまでは両親に『酒を買ってこい』『つまみを作れ』とか言われて家ではまともに課題もできなかったそうだ。だから夏休みも後半になってから仕方なく図書館とかに行ってやる感じだったって。琴美ことみちゃんも一緒に。その琴美ちゃんに至っては、ここでは最初の三日でほとんど終わらせてた。結人ゆうとくんに見てもらいながら。


そうなんだ。琴美ちゃんは最近、一真くんよりも結人くんの傍にいることが多い。なんとなく結人くんの傍が安心できるみたいだね。もしかすると結人くんのことが好きなのかもしれない。だけどその辺りについては本人の気持ちの問題だから僕たちはなるべく干渉しないでおこうと思ってる。結人くんも少し戸惑ってる様子ではあるけど、強く拒んでるわけでもないし。


沙奈子も平然としてる。正直、沙奈子が結人くんのことをどう思ってるのかは、まだよく分からない。彼女自身、あまり自覚してないみたいだね。『親しい友達』だと思ってるのは確かなんだけど。


これについても本人に任せればいいかな。親としては今の結人くんなら安心ではありつつ、だからって押し付けるわけにもいかないから。


昼前には両親の食事の用意をするために一真くんはいったん家に帰る。そうすると琴美ちゃんはますます結人くんにべったりになる。彼の椅子に自分の椅子をくっつけて体もくっつけて座って漫画を読んでたりゲームをしたりしてるんだ。


「なんで俺なんだ?」


結人くんが尋ねても、


「……」


琴美ちゃんは応えない。応えないまま余計に体をくっつけてくる。僕は二階のウォール・リビングのテレビをモニターにして沙奈子のスマホをカメラにしてその様子を目撃した。だけど沙奈子はドレスづくりに集中してて気にしてる気配もない。


まあそうかもね。僕のところに捨てられてからようやくまともに心の方も成長を始めたんだと考えたらまだ六歳とかそのレベルかもしれないわけで、異性関係とかそういうのを意識する段階まで達してないのかもしれないし。


普通にフィクションだったらその辺りの『恋模様』みたいなのも描かれて当然だとしても、正直、星谷ひかりたにさんの大希ひろきくんへの気持ち以外にはそういうのはまるで見られない。千早ちゃんは大希くんのこともまったく異性として意識してないし、結人くんのこともただの友達としか見てないのがすごく分かる。一真くんのこともだ。そして大希くんも結人くんも一真くんも、沙奈子や千早ちゃんのことはやっぱり友達としか見てないのが伝わってくるんだよね。



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