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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2221/2601

二千二百二十一 SANA編 「狡い人になる理由」

七月二十七日。水曜日。晴れ。午後から夕立。




人間の親って、本当に狡いよね。自分の勝手で子供をこの世に送り出しておきながら『生んでやった』とか言うし、自分が勝手に子供をこの世に送り出したことの尻拭いでしかない養育を『育ててやった』とか言うし、中にはそれこそ、『自分が生んだ子供をどうしようと親の勝手だ』とかとんでもないことを口にする親もいる。


しかも、平然と子供の前で嘘を吐くし、約束を破っても反省もしないし、『人には優しくしなさい』と言いながら自分の気に入らない相手のことは傷付けて当たり前だと思ってる。子供の母親を罵ったり蔑んだり、子供の父親を貶したり嘲ったり、それを当然の権利だと考えてたりする親もいる。


さらには、『親や目上の人間のことはとにかく敬え』と、人として到底敬えないような振る舞いをしている親や大人が言ってたりする。僕の両親もそうだったし、一真かずまくんと琴美ことみちゃんの両親も、そんな感じのことを口にしてるそうだ。不思議と、『人として到底敬えないような振る舞いをしている親や大人』の方がそういうことを口にしてる気がするかな。


沙奈子や玲緒奈れおなは、僕のことをすごくよく見てる。僕がそんなことをしてたら、沙奈子や玲緒奈も、


『それが当たり前』


と思ってしまってもなにも不思議はないんだ。世の中には『狡い人』はたくさんいるけど、やっぱり、そういう人の親や身近な大人たちが『狡い考え方』『狡い振る舞い』を見せてきたことで、それを真似るようになったんだろうなという実感がさらに強まったよ。


僕自身が『親』だからこそ。僕自身が沙奈子や玲緒奈を育ててるからこそ。


『この子たちが『狡い人』になるとしたら、何が原因だろう?』


って考えれば考えるほど、


『僕が二人の前で悪い意味での狡い大人の振る舞いをしてたら、それを真似するだろうな』


としか思えないんだ。


それ以外で二人が狡い人になる理由が見当たらない。沙奈子は僕のところに来る前にそれこそ狡い大人をたくさん見てきたから『狡い人はどんなことをするのか?』というのも分かってしまってるかもしれないけど、玲緒奈はそうじゃない。


この子の身近には、『生んでやった』とか『育ててやった』とか『自分が生んだ子供をどうしようと親の勝手だ』とか言う大人はいないし、誰かを欺くための嘘を吐いたり、約束を破っておいて逆ギレしたり、人には優しくしなさいと口にしながら自分の気に入らない相手を傷付けるのを当然の権利だと思ってたり、人として到底敬えないような振る舞いをしておきながら『親や目上の人間のことはとにかく敬え』みたいなことを言う大人もいないから、そういうのを学びようがないよね。



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