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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百十八 SANA編 「楽しめる範囲で」

七月二十四日。日曜日。晴れ。




昨日も、沙奈子たちは水族館に行ってきた。千早ちはやちゃんと大希ひろきくんと結人ゆうとくんにとってはある意味では『飽きて』しまっているかもしれないけど、沙奈子にとっては、


「見たいものがいっぱいありすぎて飽きるっていうのが分からない……」


なんだって。そして最近になって行くようになった一真かずまくんと琴美ことみちゃんにとっては、


「すごいと思う。すごい楽しい」


ってことだった。これまで両親に連れて行ってもらったこともなかったそうだし。二人の両親はいつもパチンコに行ったりお酒を飲みに行ったりして出掛けるのに、一真くんと琴美ちゃんを遊びに連れて行ってくれたことは、一真くんが覚えている限りではなかったって。


別に、『子供の思い出作りのために出掛けるのが親の義務』だなんて言うつもりはないよ。僕だって、水族館や海水浴や星谷ひかりたにさんの別荘くらいしか連れて行ってあげられてないから。テーマパークとかには行ってない。これは沙奈子自身があまり人の多いところは好きじゃないというのもありつつ、僕も好んで行きたいとは思ってないからね。


ただ、玲緒奈れおなはテーマパークとか好きそうだなって予感がある。だとすると、本人が覚えてられるようになった頃には連れて行ってあげられたらいいなとは思ってる。その頃にはさすがに新型コロナウイルス感染症の件も落ち着いてるんじゃないかって感じるし。


ああでも、もしかするとまだ当分続く可能性だってないわけじゃないのか。だけどもしそうだとしても、


『この世が自分の思い通りになることはない』


のをわきまえられてるから、できる範囲で楽しめばいいと思ってる。だってそうだよね?。戦争とかがあった頃だって、呑気に遊びに出掛けられたりなんて基本的にはできなかっただろうからね。しかもそんな状態が何年も続いたってこともあったんだよね?。じゃあやっぱり、『今はそういう時期』ってだけだと思う。そんな中でいくら泣き言を並べても、自分の思うような世の中にはなってくれないはずだよね。


その中で楽しめる範囲で楽しもう。人生を。


沙奈子は水族館でいろいろな生き物を見ながらドレスのデザインを考えてるのがすごく楽しいって。そして玲緒奈は、ウォール・リビング内を猛然と進撃したり、僕で遊んだり、散歩をすることをすごく楽しんでくれてる。そんな沙奈子や玲緒奈の姿を見てるだけでも、僕もすごく楽しいよ。生きててよかったと思う。


そう思えない人は他に楽しみを探すしかないんだとしても、僕にとってはこれが楽しいんだ。他に何か魅力的な楽しみって、別にないしね。



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