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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2213/2601

二千二百十三 SANA編 「どっちが心休まるかな」

七月十九日。火曜日。雨。




僕は、実の両親や兄と一緒に暮らすことを思えば、正直言ってどこかのカルト教団に参加してる方が気が楽だろうなって感じてる。


だけど、今の僕たちの在り方とカルト教団の在り方とじゃ、どっちが心休まるかな。


つまり、カルト教団に参加する人って、そういうことなんじゃないのかなって思うんだ。


『実の親や家族と一緒にいるよりもカルト教団の方が心休まる』からそうしてるってことなのかもしれない。


だったら僕は、沙奈子や玲緒奈れおなや絵里奈や玲那がカルト宗教に救いを求めなきゃいけないような家庭を作らないことで家族を守ろうと思う。


今の僕は、カルト宗教が唱えてる内容を見ても、それにまったく魅力を感じないんだ。『騙される』とかじゃない、『そもそも魅力を感じない』『心惹かれるものを感じない』ってことなんだよ。今の僕の家庭と秤にかける価値さえそこには見いだせない。


僕は別に、今の社会や人間の世界にそこまで不満も感じてない。『不満がない』とは言わないよ。『こうなってくれたらいいのに』と感じる部分はたくさんある。でもさ、そういうのも、今の僕の家族との暮らしを思えば、そんなに深刻になる必要がないんだ。どうせ、『何一つ不満がない世の中』なんてできるとも思えないし。


そんなことよりも大事なのは、


『自分の思い通りにならない人の世とどう折り合いをつけていくか』


ってことだと思うし、今の家族となら一緒にそれをしていけると感じてるんだ。だって僕のことをちゃんと人間として認めてくれる家族だしね。


さらには、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんや一真かずまくんや琴美ことみちゃんや山仁やまひとさんや星谷ひかりたにさんやイチコさんや波多野さんや田上たのうえさんや鷲崎わしざきさんがいてくれれば、僕は僕でいられると感じるんだよ。そこにカルト宗教が入り込む余地はない。


それにさ、そもそも『宗教の教義』だって、どこかの誰かが考えただけのものだよね?。別に本当に超常の存在が授けてくれたものってわけじゃないよね?。そこに生きるためのヒントが記されてるとしても、あくまでそれを理解して活かしていけばいいだけで、そこにあるのはオカルトでもなんでもないただの『先人の知恵』だと思うんだけどな。


大事なのは『オカルト』じゃない。オカルトは現実じゃない。僕は人間で、僕の家族も人間なんだ。お互いに人間なんだから、人間という生き物ができる範疇のことしかできないよ。


その中でお互いに考えてることを提示して妥協点を探ったりすることで折り合いをつけて生きていくんだ。それができる相手だから家族になったし、親しくできる。


それだけのことなんだよ。



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