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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2210/2601

二千二百十 SANA編 「どうやって恩を」

七月十六日。土曜日。曇り。




今日は割と涼しいけど、沙奈子たちは土曜授業を終えた後、やっぱりハイヤーで水族館に行くことになった。一真かずまくんと琴美ことみちゃんは自転車を持ってないから。


「人生部の活動として行うものですから、私が支援します」


星谷ひかりたにさんがそう言ってハイヤーを手配してくれたんだ。


「俺、どうやって恩を返していけばいいんだ……」


一真くんはそう言うけど、


「なに言ってんの。ピカえが言う通り、これは『人生部としての活動』なんだから堂々としてりゃいいんだよ!」


千早ちはやちゃんが胸を張る。そもそも千早ちゃんは、山仁やまひとさんのところで半ば保護された状態だし、沙奈子も僕の実子じゃないし、結人ゆうとくんだって鷲崎わしざきさんの実子じゃない。だけど、山仁さんも僕も鷲崎さんも、


『自分の意志で自分で選択して自らの責任においてそれをしてる』


だけでしかないんだ。『恩を売る』とかじゃない。『自分がそうしたいと思った』からこそそうしてる以外の何ものでもないんだよ。


それに対して恩を感じてくれるなら嬉しいけど、恩を売ることが目的じゃない以上は、自己満足の類でしかないんだ。千早ちゃんや沙奈子や結人くんの助けになってる時点で目的は果たされてる。自己満足は成立してる。だからそこから先は単なる余禄でしかない。


『どうやって恩を返していけばいいんだ』と考えられるような子でいてくれてれば、もう十分だと思う。それに星谷さんの場合は、『千早ちゃんと大希ひろきくんのため』というのが何より大きい。そのおこぼれに一真くんも琴美ちゃんもあずかってるだけに過ぎないと思う。


結果、一真くんや琴美ちゃんが、二人の両親とはまったく違う生き方をできるようになってくれれば万々歳なんじゃないかな。『子供に対する支援を食い物にするような生き方』をしないでいてくれれば、それだけ社会のリスクが減るわけだし。


もちろん、沙奈子や玲緒奈れおなのために利用できる制度があるなら僕たちだって積極的に利用していこうと思う。給付金だって、もらえるなら辞退はしない。もらった上で役立てさせてもらう。子供たちのために支給されたものを自分たちの遊興費に使ったりはしない。それだけの話だよ。


僕たちのそんな姿を沙奈子や玲緒奈に見てもらうことで、『人間としてどう振る舞うべきか』というのを学び取ってもらうんだ。一真くんや琴美ちゃんにも、二人の両親との違いをよく見てもらわなくちゃと思ってる。大人が全員、両親と同じだってわけじゃないというのを知ってもらうのが大事だよ。



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