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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2202/2601

二千二百二 SANA編 「程よい関係性を確立」

七月八日。金曜日。曇り。




今日で期末考査も終わり。月曜日から終業式前日までは一コマ四十分の短縮授業になるそうだ。だから、少し学校も早く終わる。


ここまでのテストでも、沙奈子たちは特に何も不安はなかったって。だから学力の点ではそれこそ心配してない。気になるのはあくまで人間関係。だけどそちらも、まあまあ平穏にやれてるみたいだ。慣れ合うわけじゃないけど、それでいて険悪でもない。ただただ社交辞令の範囲で収まってる感じ。社会に出ると結局はほとんどの人とそういう距離感で接することになると思う。その中で特に親しい人がいて打ち解け合えればそれで十分。


孤独を感じる必要もない。孤立してるわけじゃないからね。


『高校に入ってからの新しい友達』も、一真かずまくんや篠原さんがいる。そして、学校に行けば普通に挨拶を交わす相手もいるそうだ。


すごくはしゃぐわけじゃない一方で、『居場所がない』わけでもない。本当に沙奈子らしい程よい関係性を確立できてるんじゃないかな。


なにも無理にこれ以上を望む必要も感じないんだよ。自分の神経をすり減らしてまで。


学校は勉強をしに行くところだと思う。神経をすり減らしてストレスを溜めるために行くわけでも、逆に家庭のストレスを他の誰かにぶつけるために行くわけでもないはずなんだ。特に家庭でのストレスなんて、他の生徒には何の関係もない話だから。そんなことのために迷惑を掛けられなきゃいけない道理はないはずだから。


「学校は楽しい?」


沙奈子にそう尋ねると、


「普通……」


って返事が返ってくる。彼女の『普通』は、『特に問題もない』という意味なのは相変わらずだった。表情も穏やかだ。ここで何か嫌な思いをしていたら彼女はそれが表情に出ることを僕は知ってる。その上で、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんや一真かずまくんが学校での沙奈子の様子を見てくれてるから、そちらからも情報は入ってくるし、逆に、沙奈子が千早ちゃんや大希くんや結人くんや一真くんの様子を見てくれてることで、何かあればすぐに伝わる。


そういう意味じゃ友達の存在は本当にありがたいよね。


『こおりひめ』とか『アイスドール』とか陰で呼ばれてるという件にしても、沙奈子自身がそれほど気にしてないのも分かるし、千早ちゃんたちも、


「まあ、どってことないんじゃない?」


「うん。露骨にからかってきたりはしないしね」


「あいつらにそんな根性ねえしな」


「根性云々はともかく、みんな平穏に過ごしたいんだろうと思うよ」


って応えてくれる。


もちろん、細かい部分でムッとくるようなことはあるんだとしても、こうして家に帰ってみんなで過ごせば忘れてしまえる程度のことで済んでるみたいだ。



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