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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2201/2601

二千二百一 SANA編 「一つの処世術なのかも」

七月七日。木曜日。晴れ。




本当に、


『原因があるからって何をしてもいいっていうわけじゃない』


ことを、親として僕は沙奈子や玲緒奈れおなに分かってもらう必要があると感じてる。


『イジメはイジメられる側にも原因がある』


という言い訳で加害行為を正当化するような人間になってほしくないから。もし沙奈子が誰かをイジメたりしてたら、僕は学校には通わせない。誰かをイジメさせるために彼女を学校に通わせてるわけじゃないからね。


ただ、この考え方だと今度は逆に、沙奈子を学校に来させないために『イジメられたと虚偽報告をする』みたいな形で悪用されたりということもありそうだから、やっぱり何より普段から沙奈子の様子をちゃんと見ておく必要を感じる。誰かをイジメたりせずにいられないくらいの精神状態になってないかどうかを確かめないといけないと思うんだ。


そのためにもいつもしっかりと彼女のことを見て、『普段の様子』を承知しておかないといけないとも思う。そうじゃないと、様子が変わっていることに気付けないかもしれないから。


これは、『イジメる側』も『イジメられる側』も同じだと思うんだ。沙奈子はすごく我慢強い子だけど、それでもよく見ると、何かあった時には表情に出るタイプでもある。あとは僕がいかにそれに気付くかだよね。


ああでも今なら千早ちはやちゃんや大希ひろきくんが学校でのことを教えてくれるからさらに分かりやすいだろうな。結人ゆうとくんや一真かずまくんも見てくれてるだろうし。


そして沙奈子も、千早ちゃんや大希くんや結人くんや一真くんの様子をしっかりと見てくれてる。ここにさらに篠原優佳しのはらゆうかさんも加わってくるのか。


その篠原さんは、火曜日から毎日うちに来てて、沙奈子たちと一緒に一階の厨房で昼食の用意をしてみんなでお昼にして、習い事の時間まで過ごしていってる。篠原さんも、自分から誰かを一方的に攻撃するようなタイプの子じゃないし、だからこそ沙奈子たちも彼女を受け入れられてるんだって感じる。


『高校デビュー』しようとして大失敗したという篠原さんだけど、結果として千早ちゃんと親しくなれてこうやって『人生部』に参加できるようになったのは、怪我の功名ってものかもしれない。だけどそれも、千早ちゃんが彼女の失敗を嘲笑うような子じゃなかったからというのは間違いないと思う。もし千早ちゃんが彼女を嘲笑うようなタイプだったら、篠原さんは『人生部』には参加してなかったんじゃないかな。


他の誰かと一緒になって別の誰かを嘲笑って蔑むような集団を作るのも一つの処世術なのかもしれない。『加害者側に回る』というのもね。でも僕はそういう生き方を羨ましいとはまったく思わないんだ。



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