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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百七十五 SANA編 「自己流だけじゃ」

六月十一日。土曜日。曇りのち雨。




今日は、沙奈子たちは土曜授業がないから、朝から『人生部の部室』に集まってた。そうして午前中は自主勉強をして、昼前からは厨房で料理を始めて、午後は、沙奈子と結人ゆうとくんが玲那と一緒に水族館に、と思ったら。


「今日はピカえが来れることになったから、みんなで一緒に水族館だ!」


千早ちはやちゃんが声を上げて、


「え?。一真かずま琴美ことみちゃんは?」


大希ひろきくんが問い掛けると、


「ピカえが二人の分も年間パス買ってくれるって!」


千早ちゃんは嬉しそうに。だけどそれに対して一真くんは、


「ちょ、ちょっと待ってくれ。そんなの悪いよ……!」


って慌てた様子で。だけど千早ちゃんは動じることなく、


「いいのいいの。これは『人生部としての活動の一環』なんだから、部費として計上するからさ」


きっぱりと言い切った。そう。『人生部としての活動費』は、星谷ひかりたにさんが負担してくれてる。うちの厨房を使うことについても、千早ちゃんたちが作る料理の材料費についても、千早ちゃんが部費として計上して星谷さんに報告。それを受けて必要な額が渡されるという仕組みになってる。これも、千早ちゃんたちが大人になって様々なお金にまつわることについてきちんと対処できるようにという意味で、活動の一環なんだ。その中には、『屋外活動』も含まれていて、水族館に行くのもそこに含まれている。


星谷さんは決して、一真くんと琴美ちゃんに同情して『恵んでる』わけじゃないんだよ。すべては千早ちゃんや大希くんのため。二人が成長する上で必要な経験を積んでもらうためのものなんだって。


「だから、部活動として堂々と行ったらいいんだよ。それ以上でもそれ以下でもない。これからもこうやって部室以外の場所でも部活をしていくことになるから。今はまあ、『新型コロナウイルス』のあれもあるからそんな思いっ切りはできないけどさ。でも、それが収まったら水族館だけじゃなくてもっといろんなとこへも行くことになるから。覚悟しとけよ」


『にしし♡』って感じで悪戯っぽく笑いながら千早ちゃんは告げた。一真くんだけじゃなく、琴美ちゃんまでちょっと戸惑ったような様子だったけど、そうだね。『部活』ということなら、アリだよね。


その中で、一真くんや琴美ちゃんのような事情を抱えた人との接し方なんかについても、学んでいくことになるっていうことなんだ。


元々、みんな何らかの事情を抱えた子たちだけど、だからって自分以外のそういう人とどう接していけばいいのかというのは、自己流だけじゃ上手くいかないこともあると思う。


僕だって、最初は沙奈子とどう接していいのか分からなくて困ってたし。



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