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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百六十八 SANA編 「コミュニケーション」

六月四日。土曜日。晴れ。




今日は、沙奈子たちは土曜授業で午前中は学校だった。


そしてお昼に帰ってくると、そのまま『人生部の部室』で過ごすことになる。その前に厨房でお昼を作るけど。


今日の昼食はカルボナーラ。それに合わせて絵里奈も二階のミニキッチンで、玲緒奈れおな用の昼食を作る。乳幼児用の総菜パックを基にアレンジを加えたカルボナーラ風のクリームパスタだ。僕や絵里奈が食べているものと同じ(ように見えるもの)を一緒に食べることで、玲緒奈も納得してくれるからね。


沙奈子たちが作ったカルボナーラを大希ひろきくんが二階に届けてくれて、


「ありがとう」


言いながら僕が受け取ると、


「あいあと!」


玲緒奈も真似をして手を上げながら言ってくれた。


「いえいえ、どういたしまして」


大希くんも笑顔で小さく手を振りつつ、階段を下りていく。


こんな風にして誰かがしてくれたことを『当たり前』と捉えるんじゃなく、ちゃんと労わる姿勢を見せることが大事だとつくづく思う。玲緒奈が自然とそうできるように、親である僕が手本を示していきたい。そうすることで、学校でも教師を馬鹿にしたり見下したりしないようになると思うし、店とかでも店員に対して横柄な態度を取るような人にはならずに済むと思うんだ。


『自分は生徒なんだから客なんだから、こっちの言いなりになるのが当たり前だ!』


みたいな態度を取らずに済むようにね。


教師や店員に対して見下したり横柄な態度を取るというのは、


『コミュニケーション能力に欠けている』


ってことだとすごく思う。相手のことを慮らない振る舞いは『コミュニケーションじゃない』と思うんだ。コミュニケーションというのはあくまで双方向のものであって、どちらか一方から押し付けるものじゃないと、沙奈子と一緒に暮らすようになってから僕も学んだ。両親も誰もそれまで教えてくれなかったけど、沙奈子の存在とたくさんの人との出会いで学んだんだよ。


沙奈子が何を考えて何を望んでどんな意図を持っているのか僕自身が理解するように努めなければ、彼女とのコミュニケーションは成立しなかった。沙奈子とちゃんとコミュニケーションを取ろうと努力してきたからこそ、彼女は僕を信頼してくれたと実感してる。山仁やまひとさんとの関係も、結局はそれなんだ。僕が一方的に頼ろうとしてたらきっと成立してなかった。コミュニケーションを取りながら自分にできることをしようとしてたから、山仁さんも力を貸してくれたんだと思う。


そのことを、沙奈子や千早ちはやちゃんや大希くんや結人ゆうとくんや一真かずまくんや琴美ことみちゃんに手本として示すのが、僕の役目だとすごく感じてる。


しかもそれは、沙奈子が仕事をする上でも大事なことのはずなんだ。



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