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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百三十七 SANA編 「七百分の二」

五月四日。水曜日。晴れ。




今日はみどりの日。やっぱり朝からみんなで三階に集まってる。そして一真かずまくんと琴美ことみちゃんの自主勉強を、沙奈子たちが見てくれてるんだ。


大希ひろきくんも、二人の助けになろうとしてか、頑張ってるのが分かる。


これが『七百分の二』になるかどうかは分からないけれど、大希くんにとっても心の支えになるのなら、必要なことだと思うんだ。


それと同時に、沙奈子や千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんにとっても意味のある経験になるかもしれない。


もちろん、未熟な沙奈子たちが二人を本当に助けられると思ってるわけじゃない。ただ、


『誰かの力になろうとして、でも思い通りにならなかったからってキレる』


みたいなことにならないようにするっていう経験にもなるかなと。もし一真くんと琴美ちゃんが沙奈子たちの思い通りにならなかったとしても、二人を責めるようなことは僕はさせるつもりはないんだよ。『子供の力じゃどうにもならないような大変な事情を抱えた子』をどうにかできるような力はそもそもないんだから。


実際に二人のことをどうにかするのは大人の役目だ。


とは言え、大人でも迂闊なことができない状態なんだから、子供にやらせようなんて発想はそもそも間違ってるとしか思えない。だから、沙奈子たちにはただ、二人は見捨てられてないんだってことを伝えてくれればそれでいい。


そのためにも二人には逃げ込める場所を提供したい。


星谷ひかりたにさんにもそのことを伝えたら、


「分かりました。私としても何ができるかを考えたいと思います。ですが、確かに難しい事例だとは、話を聞いているだけでも感じます。行政が介入できるボーダーライン上にある事例なのでしょうね」


とのことだった。それこそ法律上グレーな措置を取るとすればできなくはないのかもしれないけど、でもそれは、相手がおとなしくしててくれるならの話だろうな。相手が法律を盾にとって逆に訴えてきたりすれば不利なのはこっちの方になると思う。話を聞いてるだけでも素直におとなしくしてるようなタイプじゃなさそうだし。


もし、分かりやすく懲役刑になりそうな犯罪でもしててその証拠でも掴めたら星谷さんはそれこそ容赦はしないとしても、そういうボロを出すのを待つしかないのか……。


それまでの間、一真くんと琴美ちゃんを守るのが大事なんだろうな。


そしてこういうのは、行政では難しいのかもしれない。法的に動ける根拠がない状態で二人だけを特別扱いするようなことをしたら、それに対して『不公平だ!』『そんなことに税金を使うな!』とか言う人が出てきそうだし……。



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