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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2108/2601

二千百八 SANA編 「ただただ好きで」

四月五日。火曜日。晴れ。




今度の金曜日にはいよいよ沙奈子たちが通うことになる高校の入学式。だけど、沙奈子も千早ちはやちゃんも大希ひろきくんも結人ゆうとくんも、特に浮足立ったような印象はない。今日も『人生部』の活動にいそしんでるだけだ。


お昼には、玲那とイチコさんと田上たのうえさんの注文を取って料理を用意してる。『ただただ好きで料理をしてる』ということじゃなくて、『仕事としてそれをするシミュレーション』としてね。単に『料理をするのが好き』『ケーキを作るのが好き』というだけじゃ、仕事としては成立しない。仕事としてやる時には、本当にいろんなことに意識を向けないといけない。『衛生』や『お客の嗜好』、『接客』というものを考えなきゃいけないんだ。だから『人生部』としての活動では、それを意識して行ってる。


沙奈子はホールスタッフ兼キッチンスタッフだったりする。そして絵里奈がウォール・リビング内からパソコンのメッセージ機能を使って注文を出し、沙奈子がそれを確認して、


「チャーハン二つ。注文入りました」


と告げてるのが、テレビをモニターにしたビデオ通話で見えていた。玲緒奈れおなは、そんな沙奈子の姿を見て、


「ちゃーっ!。どるるる。ちゃーっ!」


指差しながら何か言ってる。


「そうだね。お姉ちゃんだね」


僕も仕事をしながら応える。玲緒奈にもいろいろ分かってきたのか、ビデオ通話の画面を映したテレビを見ても無理に触ろうとしないし、僕や絵里奈のパソコンにも手を出そうとはしなかった。それは、今はもう使っていなかった僕のノートパソコンを、玲緒奈が触ってもいいように置いてあって、一時期それをいじってたからかもしれない。一応は電源も入れてお絵描きソフトを起動させてて、玲緒奈も自分が触ると画面に模様ができたりするのを面白がってたんだけど、今ではすっかり飽きてしまったらしいんだ。それよりも今は、いろんな形のマグネットのシートをホワイトボードに貼り付けて遊ぶのがお気に入りらしい。


それは、動物とか魚とか消防車とかロケットとかの絵が分割して描かれてたりもして、玲緒奈はちゃんと並べて絵として完成させてたりもする。もう、『ものの形』というのを理解してるんだっていうのが分かる。しかも虎の絵を完成させると、


「トラ!」


と声を上げて、ロケットの絵を完成させると、


「ロエット!」


と声を上げたりもするんだよ。それがなんであるのかをしっかりと承知してるんだ。


かと思うと、疲れてきたら僕の膝に乗ってきてすごく貫禄のある様子で寛いで、気が付いたら寝てたりするんだよね。



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