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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千九十七 役童編 「まだ一歳半の未熟な」

三月二十五日。金曜日。晴れ。




星谷ひかりたにさんは、本心では大希ひろきくんのことがものすごく心配なんだろうけど、今はそれを我慢してくれてるみたいだ。その代わり、千早ちはやちゃんには自分に甘えてもらったりしてる感じかな。


一方の千早ちゃんも、星谷さんのことを本当の母親や姉以上に慕ってる。甘えてる。そして星谷さんと会えない間は、沙奈子に甘えることで我慢してるみたいだ。


僕なんかよりもずっと立派で優秀で高い能力を持ってる星谷さんでも、かなり大人っぽくなってきた千早ちゃんでも、そうなんだ。人間は決して完璧ではいられない。だったら、まだやっと一歳半になるところの玲緒奈れおなが僕に対して甘えてても当然だよね。


沙奈子の卒業式の日、自分を置いて出掛けていく僕に対して感情をぶつけた上に拗ねてしまったのだって、まだ一歳半の未熟な人間である以上は無理もないはずなんだよ。だから僕はそれを責めたりはしない。責める必要も感じない。だって、今の彼女を責めたところで理解できないはずだから。


それよりも、『自分の思い通りにならない相手に対してどう振る舞うか?』という姿を示していく必要しか感じないよ。


そんな玲緒奈を、今日は、『一歳半健診』に連れていく。もちろん僕が。


相変わらず、父親が一人で連れてくるとチラチラ見られたり、ひそひそ何か母親同士で話したりしてる様子もあるけど、気にしない。これも、『自分の思い通りにならない相手に対してどう振る舞うか?』ということの一つだよ。僕たちの事情や考え方を知らない人たちは勝手に邪推してあれこれ言うかもしれないけど、そんなことを気に病んでたって改めてはくれないからね。うちはうち、他所は他所だ。


ただ、男性用のトイレにおむつ替えのスペースがないのは正直どうかと思う。だから仕方なく『多目的トイレ』を利用するんだけど、女性用のトイレにはちゃんとおむつ替え用のスペースがあると表示されてるんだよね。


でもこれも、まだ父親がこうやって赤ん坊を連れてる例が少ないから『多目的トイレを使えばいい』と考えることもできるわけで、実際、僕以外にはもう一組しか父子で健診を受けに来てたのがいなかったから、まあ、多目的トイレだけでも間に合ってたのも事実かな。


その一方で、大きなスーパーとかには、男子トイレにもそれが設置されてるところも増えてきてるみたいだ。ちょっとずつちょっとずつ、状況は変わっていってるんだろう。


こういう部分も、『自分の思い通りにならない状況に対してどう振る舞うか?』ってことを示す機会だよね。



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