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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千八十六 役童編 「ヒロにはヒロの事情が」

三月十四日。月曜日。曇り。




明日はいよいよ卒業式。今日は一日、卒業式の予行演習と準備だそうだ。


結局、ここまで大希ひろきくんは山仁やまひとさんと一緒に学校に通うことになった。


これについて僕は、沙奈子に確認する。


「大希くんのことについて、どう思う?」


それに対して沙奈子は、


「別に……ヒロにはヒロの事情があるから……残念だけど、そういうものだと思う……」


と言ってくれた。僕はそんな沙奈子を自慢に思う。そしてそれは、僕の態度から学んでくれたんだろうなって実感がある。だから僕は言った。


「そうだね。沙奈子が愛想よくノリのいい子でいられないのは、沙奈子自身の事情だ。それを理解してもらうためには、他の人にもそれぞれ事情があるってことを認めないといけないと思う。自分の事情だけ分かってもらおうとして、他の人の事情を考慮しないというのは通用しないんだ。沙奈子がそれを分かってくれてるのが、僕はすごく嬉しい」


すると沙奈子も照れくさそうに少し微笑んでくれた。


世の中には、こうやって自分の子供と会話しない、コミュニケーションを取らない親も多いらしいね。それを、


『子供の方が避けてるからだ!』


って言い訳してる人が多いらしいけど、山仁やまひとさんとイチコさんや大希くんは、ぜんぜんそんなことないらしいけどな。沙奈子も、別に僕や絵里奈のことを避けてるわけじゃない。対して、田上たのうえさんはご両親のことを避けてるし、小学校の頃からもう避けてたらしい。波多野さんも。そして千早ちはやちゃんも。


それって結局、『親のことを信頼できないから』『信頼できない親だったから』じゃないの?。田上さんが言ってた。


「うちの場合、父親は家じゃほとんど口きかない人だったらこっちからも話し掛けにくかったし、母親はそれこそ自分だけが一方的に話して相手に言うこと聞かせたいだけの人でしたから、話すだけ無駄だって感じてました。相手の言ってることを聞く気がないんですよ。それでなんで話をしたいと思えるんです?ってことだって今なら思いますね。親の方に子供の話に耳を傾ける気がないのを、『子供が避けてる』ってことにして責任転嫁したいだけとしか思いません」


って。もう、共感しかない。僕の両親もまさにそれだった。すると千早ちゃんも言うんだ。


「だよね~。うちの母親も結局それ。子供の言ってることに耳を貸す気なんてないって態度丸出しだもん。大人がそんな幼稚な態度で子供に何を学ばせるって?。相手の話を聞かず自分の言うことだけを一方的に聞かせる方法?。そんなもん、嫌われるだけじゃん。でも小父さんはちゃんと私の話を聞いてくれるから、こっちも話しやすかったよ」



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