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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千七十三 役童編 「淡々と毎日が過ごせる」

三月一日。火曜日。曇りのち雨。




いよいよ三月。もうすぐ卒業式。そして今日は雨の所為か、なんだかあたたかい。三月に入ったんだからこのままあたたかくなってくれればと思うものの、まだまだ寒の戻りはあるだろうし、本格的にあたたかくなってきたら今度はまたすぐ暑くなってくるだろうしで、本当にちょうどいい時期って一瞬なんだなって感じる。


その中でも、淡々と毎日を過ごす。その『淡々と毎日が過ごせる』こと自体が僕たちにとっては幸せなんだ。『新型コロナウイルス感染症』についても、まだまだ混乱は続いてるようでも、僕たちはもう、それがあるというのを前提にして毎日を過ごすようにしてる。マスクをしなきゃいけないのは鬱陶しいにしても、『あたたかい時期は花粉症で、寒くなってきたら寒気や乾燥から気管支を守るために』ということで年中マスクをしなきゃいけない人だって前からいたし、僕たちもそうなっただけだと思えば、ね。


特に花粉症は、誰がいつ発症してもおかしくないらしいから。実は山仁やまひとさんとイチコさんは、軽い花粉症らしい。目薬を差してマスクをしていればまあ日常生活には支障がない程度だから助かってるそうだけど。


「いやあ、もうみんなマスクしてるから、正直、気分的には助かってるね。『自分だけがマスクしてるわけじゃないんだ』って思うとさ」


と、冗談めかして言ってる。でもそれをネットで発信はしない。それをすると噛み付いてくる人がいそうだから。そういう殺伐とした雰囲気は、どうしてもあるかな。


だけどいくら苛立ったって『新型コロナウイルス』はいなくなってはくれないんだし、自分がしんどいだけだと思うんだ。だから僕たちはそんなことで苛々しないように心掛けてる。ストレスについてはお互いに労わり合うことで緩和してる。それが結局は楽なんだ。自分だけが楽をしようとして周りに負担を押し付けると、押し付けられる方は納得できないだろうからね。


玲緒奈れおなはまだそこまで考えられないからいいとしても、仮にも『大人』になった方は、手本も示さなきゃいけないし。そして沙奈子たちも、もう数年後には『大人』になるから、その時にどうすればいいのかを学んでいってもらわないといけない。これは学校ではなかなか教えられないことだと思う。親だからこそ教えられることだと実感した。


僕の両親はそれを教えてくれなかった。でも僕は、『両親が教えてくれなかったのにどうして自分だけが!』と親の所為にして沙奈子や玲緒奈にそれを教えなくていいとは思わない。そういう親ではいたくないんだ。



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