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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五十六 役童編 「パパで遊ぶのに」

二月十二日。土曜日。晴れ。




今日は、沙奈子たちは家でゆっくりしてる。受験のためのじゃなくて、あくまでここまでの復習という形で自宅学習もしてる。そして高校に行ったら、それこそ今度は大学に向けての勉強をすることになるだろうな。正直、学校での勉強は、自宅学習でやったことの復習っていう形がずっと続いてた。そしてこれからも同じようにしていくことになると思う。今の時点でもう高校三年生の段階まで進んでるんだ。


星谷ひかりたにさんは、そのためのカリキュラムを、自分で考えるだけじゃなくて、専門家の人に依頼してるそうだ。星谷さん自身は、自分が出資してる会社のプロジェクトの方が忙しいから。


そうやって、自分で何もかもしようとするんじゃなくて、任せられる部分はしっかりと外注に出して自分はそれらを統括する立場になってるみたいだね。人の上に立つ人ってそういう部分で頭が働くんだろうな。そして躊躇なく他者を頼ることもできる。


そんな星谷さんでもこと大希ひろきくんが絡むと途端にオロオロするんだから、人間って面白い。


一方、玲緒奈れおなもすごく元気で順調に育ってる。


「パパっ!。ぶるあぶぶ、ううま!」


田上たのうえさんからもらった自動車のおもちゃを僕の顔に押し付けながら何かウンチクをたれていたりも。


「そうだね。くるまだね」


僕が応えると、


「ぶあっ!。ううま!!」


改めて僕の目の前に自動車のおもちゃを掲げてそう言う。


『そうだ!。くるまだ!!』


って言ってるのかもしれない。ところで玲緒奈は女の子なのにどうして自動車のおもちゃかと言うと、


「なんか、お人形とかよりもクルマのおもちゃの方が好きそうだなって思ったんです」


と、田上さんの弁。そしてそれは決して的外れなんかじゃなくて、その自動車のおもちゃは玲緒奈にとってお気に入りのおもちゃの一つになってた。沙奈子が買ってくれたぬいぐるみよりも、絵里奈が買ってきたいわゆる『知育玩具』よりも、玲那が買ってきてくれたピアノ型のおもちゃよりも、その自動車のおもちゃを僕の体で走らせるのが、今の彼女のブームらしいんだ。


だからもしかすると、『自動車のおもちゃだから気に入ってる』んじゃなくて、『パパで遊ぶのにちょうどいいおもちゃ』だから気に入ってるのかもしれない。実際、今も、僕の背中に自動車を走らせてる。玲緒奈にとってのフェイバリットはあくまで僕だってことなのかも。


もしそうなら嬉しいな。自分を勝手にこんな世界に送り出した張本人の僕を好きでいてくれるなら、すごく嬉しい。そんな彼女の気持ちに応えなくちゃって、素直に思える。



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