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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四十九 役童編 「お話してちゃダメ!」

二月五日。土曜日。晴れ。




今日も沙奈子たちは水族館に行く。大希ひろきくんを除いてだけど……。願書の受付も終わり、再来週には前期試験がある。第一志望の前期試験一本に絞ってる沙奈子たちにとってはいよいよ時期が押し迫ってきてるはずなんだけど、そういう雰囲気はまったくない。するべきことはもうして、後は試験当日を迎えるだけの状態になってるからね。今さら焦っても無理して合格してもついていけなかったら意味がないし。


星谷ひかりたにさんが実施してくれてる模試では常にA判定になってる今は、むしろ普段の模試を受けるような感覚で気楽に臨んだ方が今の実力を発揮できると思う。だからこそ、普段と変わらないように振る舞っていればいい。準備は万端、もうすっかり終わってるんだ。


それに何より、『高校に通うこと』が目的じゃないんだよ。それが目的だったら大希くんは今みたいになってない。彼が躓いたのは、自分だけが目的や目標やなりたいものが見付けられてないってことだから、『高校に通うことが目的』だったらそうなってないはずなんだ。彼にとっては高校に通うことはただの手段でしかないんだよ。これは沙奈子たちも同じ。ただの手段の段階でダメだったのなら、その先は望めないわけで。


それで考えたら、むしろ彼にとっては入試なんてハードルでも何でもないんだろうな。それがハードルになってないからこそその先を見てしまって、愕然としたのかも。


「ある意味じゃ、贅沢な悩みなのかもしれませんね」


玲緒奈れおなを膝に抱いて、僕が離乳食を食べさせてあげてってしてる時、絵里奈がそんなことを口にした。


「確かに。合格できるかどうかが不安なんだったら、目的とか目標とかなりたいものとかを気にしてる余裕もないだろうし」


「皮肉な話ですよね」


「まったくだ」


僕と絵里奈がそんな風に話してると、


「パパっ!。ダメ!。ママっ!。ダメッ!」


玲緒奈が絵里奈の膝をバンバン叩きながら声を上げた。


『ゴハン中にそんな風にお話してちゃダメ!』


ということらしい。


「そうだね。ごめんごめん」


僕は謝りながら玲緒奈にうどんを差し出すと、彼女は大きな口を開けて食べてくれた。本当に僕がこうして食べさせてあげるとしっかり食べるんだ。なのに絵里奈や玲那があげようとすると、ぷいっと横を向いてしまったりする。あと、玲緒奈自身で食べてもらおうとすると、最初はいいんだけど、しばらくすると遊び始めてしまう。だから最初は玲緒奈自身に食べてもらうことにして、遊び始めたら僕が食べさせてあげるようにしてるんだ。ちゃんと量を食べてもらわないといけないからね。



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