表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1998/2601

千九百九十八 玲緒奈編 「自慢になること?」

十二月十六日。木曜日。曇りのち雨。




考えてみれば、絵里奈と玲那は、香保理かほりさんが亡くなったことがニュースになって、しかも今度は玲那自身が事件を起こしてって、世間的に見るなら、玲那曰く、


「典型的な地雷ってやつだよね」


ってことなんだろうな。玲那自身、大変な虐待の被害者でもあるわけだし。


たぶん、世の中の人には、


『なんでそんなのと家族になろうと思ったの?』


的なことを言うのもいると思う。だけど僕にしたら、


『ネットの匿名に影に隠れて罵詈雑言ばかり垂れ流してる人とどうして親しくしようと思えるの?』


って印象なんだけどな。そういう人に比べたら絵里奈も玲那も誰かを強く攻撃しようとはしてなかったし、僕や沙奈子のことをすごく労わってくれたけどな。だから付き合えたし家族にもなれたんだよ。事件のことであれこれ言われるのもあるとしても、そんなことは覚悟してるよ。それに、事情もロクに知らないのにあれこれ言ってくるような人を相手にしようとも思わない。会社にまでクレーム入れてくるようだったら、それは普通に『業務妨害』だからね。


別に自分が被害を受けたわけでもないのに家族の勤め先にまでクレームを入れるとか、意味が分からない。そういうことをしてる人は自分こそを『正義』だと思ってるんだろうけど、そんなのを見ればますます『正義を声高に叫ぶ人は信用しちゃいけない』としか思わない。


そのことについて、今日、バイトが休みの波多野さんも、


「うちの父親のところにも苦情の電話やメールが殺到して、実際、弁護士を通じて内容証明郵便で刑事告訴の準備中だと送ったのもあったそうですよ。それどころか、ニュースにはなってませんけどホントに刑事告訴に踏み切ったのもあったそうです。で、書類送検されて起訴されて裁判で有罪判決受けて罰金刑になったのもいたとか。これで立派な『前科持ち』ですね。あんなバカ兄貴のためにわざわざ自分まで前科持ちになるとか、何考えてんだろうって思いますよ」


呆れたように言ってた。


そうだね。罪を犯した人に対してこれだけ厳しい世の中でどうして好き好んで前科持ちになろうとするのか、僕にはまったく理解ができない。波多野さんのお兄さんの場合は、もういろいろ嫌になって他人も家族も巻き込んで破滅しようっていう狙いもあったみたいだけど、それくらいでないとピンと来ないよ。『箔を付ける』とかって目的で事件を起こす人も世の中にはいるらしいけど、『業務妨害で前科一般』って、それ、自慢になること?。やっぱり理解ができない。


僕が絵里奈や玲那と家族になれたのは、二人が誰かをわざと傷付けようとする人じゃなかったからだよ。それは間違いなくあるんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ