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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1996/2601

千九百九十六 玲緒奈編 「僕は器の大きな人間じゃないし」

十二月十四日。火曜日。晴れ。




玲緒奈れおなも母乳を卒業したみたいで、一安心。無理にやめさせるんじゃなくて自然とやめるようになるのを辛抱強く待つつもりが、思ったよりはやく終わってくれた。


一方、絵里奈は、


「胸の形が崩れた気がします。それでも愛してくれますか?」


困ったように微笑みながら聞いてくる。それに対して僕は、


「当たり前だよ。僕は絵里奈だったから結婚したんだから。少しばかり見た目が変わったからって絵里奈じゃなくなるわけじゃないからね」


そう応えさせてもらう。これは僕の本音だし本心だ。絵里奈じゃなかったら結婚してない。玲那とも、玲那自身が望んでいれば結婚してたかもしれないけど、それはあくまで、


『家族になる』


という意味だからね。絵里奈とも玲那とも、僕はあくまで家族になっただけなんだ。その中で、絵里奈とは『夫婦』って形だったっていうだけで。


世の中の男性には、僕の考え方が理解できないと言う人も多いと思う。けれど僕は、自分を『男性の代表』だなんて思ってないから、別に理解されなくても構わない。僕は僕だ。


それと同時に、世の中には『女は馬鹿だ』とか言ってる人もいるらしいけど、そうやっていわゆる『主語を大きくする』という行為が果たして本当に意味があるのかを考えることができてないってだけにしか思えないんだよ。『女は馬鹿だ』と主語を大きくして発言するのは、僕が愛する絵里奈を玲那を沙奈子を玲緒奈を愚弄する行為でしかないから、少しも共感できないし、それを発言してる人がどんな境遇にあったとしても同情はできない。


ただ、玲那も、本人が受けてきた『虐待被害』から男性に対して強い嫌悪感があったのも事実。でも玲那の場合は、それを世間に対して声高に叫ばなかったおかげで距離感が掴みやすかったというのはあると思う。そうだ。主語を大きくしてあれこれ言う人ってその人とどういう距離感で話をすればいいのかまったく分からないんだ。なにしろ、明らかに、


『自分の考えに合わない相手にはとにかく噛み付いてきそう』


って印象があるからね。玲那がとにかく男性全員を敵と見做して噛み付いてきてたら、当然、僕に対してもそうしてただろうし。玲那の場合、


『アニメの中の男性を理想として捉えて、(あくまで玲那目線で)そのアニメのキャラに似てる僕を例外として認識できた』


という、少々特殊なきっかけであったとしても、噛み付いてこなかったから僕としても困惑する程度で済んだというのは間違いなくあるんだ。自分に対して明らかに攻撃的な相手まで受け止められるほど、僕は器の大きな人間じゃないし。



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