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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1994/2601

千九百九十四 玲緒奈編 「くあえ!」

十二月十二日。日曜日。晴れ。




「いや~、正直眠たかったっす」


昨日、第一志望の学校の説明会に行ってきた千早ちはやちゃんが帰ってくるなりそんなことを口にした。


「なんかもう、ぜんぜん普通の当たり前のことしか言ってなくてむっちゃ退屈でした」


僕に報告してくれた時もそんな感じで。大希ひろきくんも、


「確かに、お姉ちゃんやピカちゃんから聞いてたことしか言ってなかったからね。変に突飛なこともできないだろうし、あんなもんなんだろうけど」


だって。ただ、結人ゆうとくんは。


「自分が行く学校なんだからちゃんと聞いとけよ……」


むしろ真面目なことを言ってた。だけどそれも分かる気がする。何しろ千早ちゃんや大希くんは真面目にやるのが当たり前になり過ぎてむしろ退屈になってきてるのかもしれないけど、結人くんはまさにこれからだからね。


沙奈子は、これまで通り淡々と目の前のことをこなすだけって感じかな。


こうして、受験に向けての準備はほぼ完了した感じだ。


結人くんも、星谷ひかりたにさんの実施する模試でギリギリのA判定が出た。受験当日までの間にさらに模試をするそうだけど、


「油断しなければ問題ないと思います」


とのお墨付きも。あとは当日にいつも通りにできるようにってことだね。そうだ。普段からちゃんと勉強してなくて試験の直前になって慌てて勉強をするというのは、なるほどそれ自体も『青春時代の思い出』ってことにはなるんだとしても、実際に身に付く勉強かどうかと言われると疑問しかない。


対して沙奈子たちのそれは、しっかり身に付いてると思う。テスト前にも特にいつも以上に勉強してるわけじゃないのにだいたい上の中から上の下くらいをキープしてるそうだし。あれだけ勉強してるように見えてもさらに上がいるというのがすごいけど、沙奈子たちのしてることって半分、遊びみたいなものだからね。真剣にやってる人たちと比べると差があるのも当然か。それに、<成績>という点ではほとんど五だし、実はもっと上のレベルの高校も目指せるとは学校から言われてるのもありつつ、沙奈子が目指してるのはそういうのじゃないし、大丈夫なんじゃないかな。


それと、結人くんは四が多いけど、『限りなく五に近い四』なんだって。


小学校の時の彼を思うと、こっちもすごいよ。彼にとってそういう努力ができる環境を僕たち大人が作れてたという事実なんだろうなって思える。


だけどこれからも気を抜き過ぎないようにして、淡々と毎日を過ごさないとね。


玲緒奈れおなも、


「くあえ!。くあえ!!。ちゃー!。どるるるる!」


クラゲのカードを振りかざしてすごく元気だ。



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