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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1993/2601

千九百九十三 玲緒奈編 「人生部」

十二月十一日。土曜日。晴れ。




今日、沙奈子たちは第一志望の高校の学校説明会に行ってる。千早ちはやちゃんと大希ひろきくんと結人ゆうとくんの四人だけで。基本的には徒歩で通うことになるはずだから、歩いていった。実際に通うことになる時のことを想定して。


ゆっくり歩くと片道で三十分。まあまあの距離はあるし実はギリギリ自転車通学が許可される距離なんだけど、


「たぶん、部活とかはしないし、その分、運動になるんじゃね?」


千早ちゃんの提案だった。


そうだ。高校に進学してからも四人は、放課後はうちの三階に集まって勉強とかすることにしてるんだ。実はもう高校の三年くらいまで勉強は進んでて、勉強の心配はしてない。それでもできることはしようって話になってるって。


「正直、やりたい部活とかないしさ。特に沙奈はドレス作りがあるじゃん?。部活してたらその分できなくなるじゃん?。だから私たちだけで部活するんだよ。その名も『人生部』。自分のこれからの人生ってのをどうやって作ってくかってのを研究する部活なんだ!。沙奈はもちろんドレス作りを究める。私はケーキ屋の経営のシミュレーション。ヒロは自分になにができるのか探る。で、結人はドール用の家具を作るってことでさ。結人、実は家ではもう作り始めてるんだじぇ~」


千早ちゃんが玲那に向かって語ると、それを聞いていた結人くんが、


「俺は別に……」


と言葉を濁す。照れくさいんだろうなっていうのはよく分かる。それに対して僕は、


「うんうん。いいよ。みんなの好きに使ってくれたらいい。どうせ三階を寝室として使えるようになるのは、玲緒奈れおなが階段の上り下りとかを不安なくできるようになってからの予定だし、それまでは使う予定ないから」


って言ったんだ。これは、絵里奈も合意してくれてること。


千早ちゃん、大希くん、結人くん以外の子があんまり訪ねてくるのはちょっと不安もあるけど、三人なら問題ないよ。家族みたいなものだし。


それにしても、『人生部』とは、何とも渋いな。


ただ、沙奈子も千早ちゃんも結人くんも実の親には恵まれなくて、明らかにそうじゃない子たちに比べたらハンデを抱えてたと思う。勉強自体は遅れを取り戻すどころかずっと先まで進めたとしても、人生っていうのは勉強さえできればそれでいいわけじゃないからね。勉強をするのは、あくまで自分の可能性を少しでも広めるため。やりたいことが見付かった時に学力が足りなくて諦めなきゃいけないなんてもったいないから。


まあ、それについても、沙奈子も千早ちゃんもはっきりとした目標は見付けてるとしても、大希くんと結人くんについては、まだ明確には掴めてないみたいだから。結人くんが人形用の家具とか作り出してると言っても、沙奈子ほど入れ込んでるわけでもないみたいだ。今はまだ、何となくそれをしてると楽しいというだけで。



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