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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1992/2601

千九百九十二 玲緒奈編 「聖人君子だとは思わないし」

十二月十日。金曜日。晴れ。




来週はまた、沙奈子の通う学校で個人懇談がある。年明けには受験が迫ってるからね。世間的にはいろいろ大変な時期なんだろうな。


ただ、沙奈子は自分であれこれ準備もしてて、実は千早ちはやちゃんたちと一緒に自転車で第一志望の学校を見に行ったりもしてたんだ。どういう学校かは、イチコさんたちからしっかりと話も聞けて何も心配してない。ただ、実際に通うことを考えるとってことで。


しかも明日、その高校で説明会があるそうだ。僕か絵里奈が一緒に行こうかとも思ったんだけど。


「千早たちと一緒だから大丈夫」


って言われて。イチコさんや田上たのうえさんも、


「ああ、私も一人で行ったし、ぜんぜん余裕。先生もだいたいは優しいから。カナのお兄さんのことがあってもちゃんと守ってくれた学校だし、それこそなにも心配要らないよ」


と言われたら、すごい説得力だった。確かに、波多野さんが通ってる間にお兄さんの事件があって、普通ならイジメの対象とかになってもおかしくなかったはずなのに、しっかりと見守ってくれて、不穏なことがあっても対処してくれたそうだ。でも、


「ただし、そんな学校でも、教師個人についてはまあ、もちろん聖人君子ってわけじゃないし、中には変なのもいるけどさ。実はぶっちゃけると、学校内で盗撮事件を起こしたのがいたんだ。しかもそれを見付けちゃったのが私たちで。本人は反省してもう二度とこんなことしませんって一筆したためて退職して教師にも戻らないってことで警察沙汰にはならなかったんだけど、ま、完璧な学校なんてないってことだよね」


って、とんでもないぶっちゃけ話を。


「だけど、その教師を完膚なきまでに凹ませたのがこれまたピカでさ。本当に反省してるかどうかを、探偵雇って監視してたんだって」


それを聞いた玲那が、


「怖っ!。ピカ怖っ!!」


とまで。確かに、僕もちょっと背筋が寒くなった。星谷ひかりたにさんの底知れなさがまた証明されてしまった気がした。


「まあとにかく、たまにそういう変なのもいたりするかもしれないけど、そん時はちゃんと相談したらいいから。ま、学校で対処してもらえなかったらピカに相談してもいいしさ。でもたぶん、大丈夫だと思う」


僕も、どんなに丁寧な対処をしてくれる学校でも、そこにいる人たちを聖人君子だとは思わないし、完璧だとも思わない。大事なのはあくまで『何かあった時にちゃんと対処してくれるか?』ってことだと思う。その点では心配要らないって。



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