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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1991/2601

千九百九十一 玲緒奈編 「あくまで親の側の都合」

十二月九日。木曜日。晴れ。




玲緒奈れおなの成長は、目を見張るものがあると思う。絵里奈が使ってる例の『文字カード』についても、ほぼ毎回、最後までちゃんと見てくれるようになった。そこまで集中力が続くようになってきてるんだ。


しかも、


「あ!、う!、お!、か!、く!、こ!」


文字の形と音が次々一致していってるみたいで。しかも、普通に発音できるようになってきてる。


もちろんまだまだ全部じゃないし、言葉という形では、『ママ』『パパ』くらいだけど、そう遠くないうちにちゃんとしゃべれるのが増えてきそうな予感はあるんだ。


特に、


「くあえ!」


クラゲのカードを手にしてそう口にしたりもする。本人は『クラゲ』と言ってるつもりなのかもしれない。すごいドヤ顔でカードを振り回して、


「くあえ!、くあえ!」


って連呼するんだ。でも不思議と、『え』だけで発音することがない。あくまで『くあえ』という形なんだ。この辺りも、今、玲緒奈の頭の中でどういう認識になっているのかは僕には分からないけど、とにかく見守るしかできないかな。


そんな玲緒奈を、沙奈子も『可愛くて仕方ない』って顔で見守ってくれる。


今、僕たちの家庭では、朝食はリビングで家族全員でって形だけど、昼食と夕食は、休日でも基本的には沙奈子と玲那は千早ちゃんたちと一緒に一階でってことになってる。沙奈子たちが食べてるものを玲緒奈が欲しがる可能性があるからね。


僕と絵里奈は、玲緒奈と一緒に食事するんだけど、基本的に玲緒奈が食べているものとほぼ同じメニューなんだ。玲緒奈が『おかゆ』を食べてると、僕と絵里奈もおかゆ。『うどん』を食べてるとうどんという形でね。『同じものを食べてる』ってことで、玲緒奈もご機嫌で食べてくれるんだ。僕が小さく切ったうどんをスプーンで、


「あーん」


としてあげると、絵里奈も玲緒奈の前でうどんを「あーん」と食べる。それを真似して玲緒奈も食べてくれる。


ごはんを食べさせるのも僕がやった方が機嫌よく食べてくれるから、すっかり僕の役目だ。


あと、玲緒奈の『椅子』は、テーブルに引っ掛けて固定するタイプを今は使ってる。普通の『赤ちゃん椅子』だとまだおとなしく座っててくれないんだ。ある程度は体が固定される形でないと。


嫌がるなら無理に固定するつもりもないんだけど、別に嫌がらないからね。しばらくの間は。嫌がり出すともうそこで食事は終わりってことにしてる。


決まった時間に決まったように食べてほしいというのは、あくまで親の側の都合。それをわきまえなきゃと思ってる。



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