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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1985/2601

千九百八十五 玲緒奈編 「あの人達よりはちょっとだけ」

十二月三日。金曜日。晴れ。




こんな風に玲緒奈れおなが少しずつ成長していってる一方で、昨日、波多野さんが言ってた。


「つくづく、うちの両親がいかに自分に甘かったか、自分には甘いクセに私らに対しては偉そうな態度を取ってたか、時間が経てば経つほど思い知らされますよ。


だってそうですよね?。あのバカ兄貴が事件を起こした時はまだ未成年で、自宅から大学に通ってて、それで事件起こしたんですよ?。なのに監督責任者としてロクに責任も果たさないうちに被害者面して引きこもるわ雲隠れするわで、もうムチャクチャ。まあそれは、事件とは何の関係もない野次馬が職場にまで電凸したりメール送りまくったりしたってのもあるんだとは思いますけど……。だけどそれはそれとして、自分は子供に『責任感を持て!』『やるべきことはやれ!』『男なら逃げるな!』とかえっらそうなことを散々言っといてあれですもん。子供としちゃ『言ってることとやってることが全然違うじゃん!!』としか思いませんよ……」


「確かに。僕の両親も『立派になれ』『人の上に立てる人になれ』とか言ってた割に、子供が自分の思うとおりに育たなかったら泣き言ばかりで。親自身が立派でもなかったし、『人の上に立てる器』じゃなかったから、兄はついていかなかったんだろうになとしか思わないかな。だけど親は親、自分は自分だからね。親が尊敬できない人だったんなら、自分はそれよりちょっとだけマシな親になりたいと思う。僕はそう考えてやってるんだよ」


「結局、そういうことですよね。私も、両親には不満しかないですけど、でも不満を口にしてるだけで自分が成長できるわけでもないし、あの人らよりマシな人間になれるわけじゃないっていうのは、私もすごく思います。今はまだ結婚なんてしたいとも思いませんけど、小父さんだって山下さんだって、奥さんや絵里奈さんと出逢うまでは結婚なんか考えてもなかったんですよね。結婚してもいいと思える相手と出逢えたからしたんですね。そしたら私ももしかしたらっていうのもあるかもしれないし、万が一そんなことになったら。あの人達よりはちょっとだけマシな親になりたいと思います」


「うん。それでいいと思う。もし波多野さんが結婚することがあったら、その時は僕たちも力になるよ。子供とかできたらそれこそ協力する。沙奈子のことでも玲那のことでも、波多野さんにもお世話になってるしさ」


「いえ、私なんて……」


玲緒奈れおながお昼寝してる間に、テレビをモニターにしてビデオ通話で話をして、恐縮した感じで頭を掻いたりしてる波多野さんも、すっかり大人になってきてるって感じたな。



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