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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1981/2601

千九百八十一 玲緒奈編 「そういう人の周りに残るのは」

十一月二十九日。月曜日。晴れ。




ディスカウントストアの屋上からカートを落とした中学二年生の女の子の件についても、どうしてそんなことをするようになるまで放っておかれたんだろう?としか思わない。玲緒奈れおなは今、僕の目の前でおもちゃを僕に投げつけて遊んでる。


「ぶあっ!。パパ!。ぶおあっ!!」


とか言いながら。この子が誰かを傷付けようと考えてるのを放っておくなんて、有り得ないんだ。こうやって僕に当たってくれるのはいいんだけどな……。


そこに絵里奈がやってきて、またあのカードを掲げた。すると玲緒奈はそっちに視線を向けて、動きを止める。


「あさがおの、あ。いぬの、い。うしの、う。えびの、え。おにぎりの、お」


そこまで言って、でも玲緒奈がじっと見てるから続けて、


「かにの、か。きのこの、き。くらげの、く。ケーキの、け。こうもりの……」


とまでいったところで、


「ぶあーっ!」


玲緒奈がまた床に置かれたカードをバシバシと叩き初めて、


「ぶあう!。ばっぷ!。ママ!。ぶるるあう、ママっ!!」


猛抗議を始めた。そこで僕が、


「は~い、どうしたのかな?。玲緒奈」


と話し掛けたら。床に置かれたカードを掴んで放り上げて、くらげのカードをバシバシ叩いて、


「ちゃーっ!。ぶるっぱ!。ちゃーっ!。パパっ!!」


なにか一生懸命説明し始める。


玲緒奈は、沙奈子のことを『ちゃー』と呼ぶようになったから、もしかしたら何か沙奈子のことを言ってるのかな?。そう思って。


「沙奈子お姉ちゃんがどうかしたの?」


と尋ねると、


「ちゃーっ!。ぶるるうぶ!。ちゃー!。パパっ!!」


やっぱり、何かを伝えようとしてくるんだ。だから今日のところはカードは終わらせておいて、


「ふんふん、沙奈子お姉ちゃんなんだ?」


って返したら、


「ぶるぱ!!」


一声上げてクラゲのカードを放り投げた。もしかしたらクラゲと沙奈子とを関連付けて何かを語ろうとしてたのかもしれない。沙奈子はクラゲも好きだからね。割とクラゲについての話をしてたことも多い。だとすると『クラゲ』という単語と沙奈子に何か強い関係性があると玲緒奈も察してて、そのことについて語ろうとしてたのかも。


この時の玲緒奈の様子について、


『だからガキは!』


みたいなことを言う人もいると思うけど、他所様のお子さんのことを『ガキ』とか言う人にあれこれ言われたくないな。そんな礼儀礼節もわきまえてないような人にね。玲緒奈はまだ赤ん坊だから礼儀礼節もわきまえられないけれど、ネットを使いこなせるような年齢になって他所様のお子さんをガキ呼ばわりするのがどういうことか理解できないというのは本当にどうかしてると思う。


そういう人の周りに残るのは、結局、同じような人だけなんだろうな。


僕はそれをいいか悪いか言うつもりはないんだ。ただ、沙奈子や玲緒奈がそうなったら嫌だなっていうだけで。



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