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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1978/2601

千九百七十八 玲緒奈編 「学校に行って誰かを傷付ける」

十一月二十六日。金曜日。




『中学三年生の子が同級生を刃物で刺したっていう事件』について、案の定、断片的な情報が漏れ出てくることで、話が二転三転してるらしい。


『容疑者の子がそう供述してるだけで実際にはイジメはなかった』という話もあったり。


それのどちらが正しいかなんて、僕には全く分からない。だからその事件そのものについては何も語れない。ただただ、僕は沙奈子も玲緒奈れおなも、『イジメの被害者』にも『イジメの加害者』にもしたくないと思うだけだし、そのための努力をするだけだよ。


『イジメの被害者』にしないことは難しいかもしれないけど、『イジメの加害者』にしないことは、僕が直接対応できることだからね。だって、もし、イジメをしてるのなら、学校に行かせなければいいんだし。


『子供の教育を受ける権利を侵害してる』って?。それを言うなら、イジメの加害者になって、『被害者の子の権利を侵害してる』ことについては何も考えなくていいの?。僕は自分の子供が誰かの権利を明らかに侵害してるとなったらそのままにしてていいとは思わないんだけどな。


沙奈子や玲緒奈が誰かをイジメてるなんてことになったら、学校には通わせずに自宅学習でいいよ。それくらいの覚悟もなく親になったつもりはないんだ。


だけど幸い、沙奈子はイジメなんてしてないし、玲緒奈もたぶん大丈夫だっていう予感がある。学校で誰かをイジメるくらいなら、僕や絵里奈に当たってもらったらいいから。誰かをイジメずにいられない状態で学校になんか通わせない。これは、絵里奈とも話し合った上でのことだ。


「もし、玲緒奈が誰かをイジメずにいられないような状態になったら、学校には通わせないでおこうと思う」


そう言う僕に、


「そうですね。私もそれでいいと思います。私自身、荒れてた時期に学校に行かなきゃいけなかったのは、本当に辛かった。他の子にきつく当たったりして、自分がものすごく嫌な人間になってるのが分かってしまって自己嫌悪でどうしようもなくなって、それで余計に苛立って。にっちもさっちもいかない状態でした。でも、叔父さんが言ってくれたんです。『だったら学校なんか行かなくていい』って。『学校に行って誰かを傷付けるくらいなら、行かずにボケっとうちで過ごしたらいいよ。絵里奈の面倒くらい、僕が見てあげるから』って言ってくれたんです。それですごく救われたというのはあると思います」


って言ってくれたんだよ。



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