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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1977/2601

千九百七十七 玲緒奈編 「傷が浅くて済んだんだ」

十一月二十五日。木曜日。晴れ。




昨日の、『中学三年生の子が同級生を刃物で刺したっていう事件』について、刺した子は『イジメられていた』って趣旨の供述をしてるそうだ。


このことについて、


『イジメへの報復だ!』


『当然の報いだ!』


的なことを言ってる人が多いらしい。だけど僕は、そのことについて嫌な気分しかない。玲那の事件の時は、玲那自身が受けてきた被害についてはあまり表に出さない方がいいという判断もあって大きく取り上げられなかったら、


『実の母親の葬式の場で実の父親を包丁で刺し殺そうとした鬼娘』


って話ばかりが広まって、『人殺しは死ね!』と、玲那を死ぬまで追い詰めようとした人たちがすごく多かったからね。しかも、一部の週刊誌が玲那が受けた被害をすっぱ抜いたら今度は、


『虐待への報復だ!』


ってことで持ち上げようとする人が出てきて、『悲劇のヒロイン』として祭上げようとする動きも出てきた上に、それに便乗した『玲那の偽物』まで出てくる始末。そういうの、本当にうんざりする。無関係な第三者が、詳細も分からないのに好き勝手に話を盛り上げて自分の憂さ晴らしに利用するのは、心底どうかしてるとしか思わない。無関係な第三者は、ただ推移を見守るしかできないのにな。


そして、自分の家族がそういう事件を起こさないように、そういう事件に至らないようにするにはどうすればいいのか?っていうのを考えるしかできないと思う。


沙奈子が通ってる学校では、イジメは『疑い案件』のうちから丁寧に対処してくれることもあって、陰で『埴輪』とか『ロボちゃん』とか呼ばれてても、それがエスカレートすることはなかった。小学校の時にも、千早ちゃんにきつく当たられても早々に丁寧に対処してもらえたおかげで何とかなった。でもそれは同時に、学校だけに任せておくんじゃなくて、山仁やまひとさんや星谷ひかりたにさんの協力もあってこそのものだった。山仁さんも星谷さんも千早ちゃんの保護者じゃないけど、保護者代わりとして千早ちゃんを受け止めてくれたんだ。だからエスカレートしなかった。


結局、そういうことだと思う。学校任せにしてても問題は解決しないんだ。沙奈子が通ってた学校は丁寧に対処してくれる学校だったというのもあっても、保護者側の協力も必須なんだっていうのを感じた。僕が沙奈子の異変に気付いて学校に相談したら、それに対応してくれる学校だったから動いてくれたし、結果として千早ちゃんの保護者代わりをすることになった山仁さんや星谷さんがフォローしてくれたから、傷が浅くて済んだんだ。


それをすごく実感する。



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