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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1969/2601

千九百六十九 玲緒奈編 「君は親として大人として」

十一月十七日。水曜日、曇り。




月曜日に僕が打ち合わせのために会社に行ってる間は絵里奈が玲緒奈れおなを見ててくれたんだけど、玲緒奈は、僕がいつも使ってる座椅子に陣取って、何か不満そうに顔をしかめて思いっ切り拳しゃぶりをしていたって。そして突然、


「ぶあーっ!。パパっ!!。ぶあっぷ!。パパっ!!」


と叫んだかと思うと、テーブルに掴まって立ち上がって、テーブルの天板をバンバンと叩きながら、


「あぶ!。あぶるるる!!。ママっ!。ぶあぶるる!。パパっ!!」


仕事をしてる絵里奈に猛抗議を始めたらしい。


「これはいったいどういうこと!?。ママ!。どうしてパパがいないの!?」


みたいなことを言ってたんじゃないかなって絵里奈は感じたって。


しかも僕が帰ってきたら。


「どぅあーっ!。パパっ!!。パパばるばるばるるぅぶぶ!!。ぶあーっ!!」


猛然とハイハイして僕の方に来て、壁に掴まって立ち上がって、壁をバンバン叩きながらすごく怒ってた。だから僕は、


「ごめんごめん。お仕事に行ってたんだよ。寂しかった?」


そう声を掛けながらウォール・リビング内に入って玲緒奈を抱き上げたら、


「ばーっ!!」


って怒りながら僕の顔を押し退けてきた。僕が自分をほったらかしていなくなってたことへの猛抗議だったんだろうな。あんまり押してきて危ないからその場に座って玲緒奈を下ろすと、玲緒奈もその場に座って床をバンバンと叩きながら、


「ぶるっぷ!。ぶろああぶ!!。ぶるるどぁあー!!」


って感じでお説教された。


そうだ。こうやって自分の感情を一方的に押し付けてくるってのは赤ん坊だってできることなんだ。それを大人になってからもやってるって、どうなの?。赤ん坊がやってるのと同じことをしてるんだよ?。大人になっても赤ん坊と同じことしかできないって、それは自慢できること?。


玲緒奈はこうやって、まだちゃんとした『言葉』にはならないけど、自分の思ってることをしっかりとぶつけてくれる。もしかしたら『延々とぐずる』って形で自分の気持ちを伝えようとする子もいるかもしれない。それは人それぞれなんだろう。


人間の子供は人間だ。人間としての心があって感情があって気持ちがある。それを表現しようとして泣いたりこうやって怒ったりする。その子供を親が人間として扱わないでどうするの?。人間として接しないでどうするの?。僕はそれを自分自身に言い聞かせる。玲緒奈がこうやっていろんな形で自分を表現しようとしてくるから、それらにちゃんと対応できるように、僕はますます自分自身に対して厳しくなっていく。


だから僕自身に問い掛けるんだ。


『君は親として大人として、玲緒奈にどんな姿を見せたいの?』


ってね。



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