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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1962/2601

千九百六十二 玲緒奈編 「我慢を学んだ人間の在り方」

十一月十日。水曜日。晴れ。




『自分が気に入らないからって他所様を攻撃すれば、本来はなかったはずのトラブルを引き寄せる』


実はまさしくそれを物語るかのような『事件』があった。


それというのも、沙奈子のドレスが気に入らない人がネット上で同じように沙奈子のドレスが好みに合わない人たちと一緒になって山下典膳やまもとてんぜんさんのギャラリーに対して不買運動を始めようみたいなことを言い出してそれで、反発した人に自宅にまで押しかけられたっていう騒動があったらしいんだ。


このことについて、山下典膳やまもとてんぜんさんのギャラリーが、


『お客様同士でトラブルが発生しているという事実に、私たちは心を痛めております』


という公式のメッセージまで出すに至ったって。とは言え、あくまでお客同士の個人的なトラブルだから干渉のしようもない。だけど実はそれについても、星谷ひかりたにさんは弁護士を派遣して、事態終息に向けた手立てを講じたって。別にそれをしなきゃいけない道理も義理もないんだけど、


「これをきっかけに『SANA』のブランドイメージに傷が付いては大変な損害となりますので、看過することはできません」


って、徹底した対策を行ったそうだ。


だけどそのために『SANA』として経費を計上したことで、最終利益が目減りしてしまったことも事実。これがもし一般的な株式会社だったら、場合によっては株主からの追及を招く原因になっていた可能性もあるよね。だって、そのこと自体は『SANA』として対応しなきゃいけないことじゃなかったんだから。


気持ちの上では星谷さんの判断は支持したいけど、<企業としての正義>には必ずしも合致しないのも事実だと思う。あちらを立てればこちらが立たず。社会って本当に難しいね。


僕はそのこともきちんと受け止めなきゃ行けないと思ってる。


『最近の子供は我慢が足りない!!』


とか言ってる大人がいかに『我慢してない』かを、あらかじめ知ってもらわなきゃいけないと思ってる。


それは、自分の身近な大人の振る舞いを見てても分かるはずなんだ。


『たった数十秒程度の時間も我慢できずに信号を無視する大人』


『たった数分の距離を歩くのも我慢できずに不法駐車や不法駐輪をする大人』


『たった数十秒の時間も我慢できずにエスカレーターを歩く大人』


『ライトを点灯させるという手間をかけることすら我慢できずに夜間に無灯火で自転車を走らせる大人』


『たった数分程度の時間も我慢できずに法定速度を守らない大人』


『自分が気に入らないというだけのことを我慢できずに他者を罵り時には暴力をふるう大人』


それのどこが『我慢を学んだ人間の在り方』なのか、僕にはまったく分からないよ。



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