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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1960/2601

千九百六十 玲緒奈編 「子供の内に思いっ切り」

十一月八日。月曜日。曇り。




『原因を作った方が悪い!』っていう理屈が正しいなら、子供からの信頼を得られないような振る舞いをしていた親の方が一方的に悪いはず。


僕はそう思う。だけど、『原因を作った方が悪い!』と口にする人は、自分が原因を作って誰かに責められたら、


『自分は悪くない!』


って言い訳するんだ。イジメをする人が、


『イジメられる原因を作る方が悪い!』


と言いながら、


『イジメという、世の中から非難される原因を自分が作った事実』


を棚に上げるみたいにね。


それは、田上たのうえさんの弟くんも同じ。ネット上で同級生の子を追い詰めようとしてたけど、その子が『田上さんの弟くんにとって気に障るようなこと』としたそもそもの原因が、田上さんの弟くんの方にあったみたいだし。


そして、自分の子供がそうやって『相手の所為にして猛烈に攻撃』してるのに、田上さんの弟くんのお母さんは、そのことについて見て見ぬふりをする。


僕は、沙奈子や玲緒奈れおなの親として、そんなことはしたくない。自分の子供が他所様のお子さんを攻撃してるのに見て見ぬふりとか、親としての責任を放棄してるとしか思わない。


これだって、『努力さえすれば何とでもなる』って言うのなら、


『自分の子供が他所様のお子さんをイジメないように努力』


すれば何とでもなるはずなのに、やらないんだ。もし努力しても上手くいかなかったら、それはもう、


『努力さえすれば何とでもなるなんて嘘』


ということの、これ以上ない証拠だよね?。しかもこう言っても、なんだかんだと言い訳を並べて、


『自分は悪くない!』


って態度を取るなんて、親としては最悪だと思うんだけどな。


今日もまさしくウォール・リビング内を猛然と進撃しながら傍若無人に振る舞う玲緒奈を見て、すごく思う。


「今のうちにこうやって滅茶苦茶に暴れてもらって、それで自爆して痛い思いをして『痛み』を知ってもらって、満足して収まってもらうのを待ってもらうのが一番なんだろうね」


と口にする。そんな僕に、絵里奈も、


「そうですね。世間じゃ、『子供の内に思いっ切り悪さをして喧嘩とかしておかないと大人になってから拗らせる』みたいなことを言う人がいますよね。だったら玲緒奈がこうやって暴れ回ってるのはそれこそ『今のうちにしておくべきこと』なんじゃないですか?。それを、『赤ん坊の内から躾けないとロクな大人にならない』とか、意味が分かりません。いったい、どっちなんですか?」


そんな風に返してきた。だから僕も、


「だよね。『子供の内に思いっ切り悪さをしておけばいい』って言うんだったら、こうやっていくら悪さをしても大した被害にならない小さいうちにやっといてもらった方がいいと思う」


そう応えたんだ。



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