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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1945/2601

千九百四十五 玲緒奈編 「真に受ける必要はないよ」

十月二十四日。日曜日。晴れ。




千早ちはやちゃんと大希ひろきくんは、昨日から星谷ひかりたにさんと一緒に例の旅館に泊まってる。だから、昨日に続いて、沙奈子は玲那と一緒に三階で過ごして、結人ゆうとくんは自宅で鷲崎わしざきさんと一緒に過ごすらしい。さすがに今日は喜緑きみどりさんも仕事は休みだってことだけど、このところずっと、結人くんと鷲崎さんが水入らずで過ごす時間がなかったってことで、今日もそうしたらしい。


喜緑さんも、そういう気遣いができるようになったんだなって実感する。


世の中には付き合いだしたからってとにかく二人の時間を何より最優先して他はおざなりにする人も少なくないらしいけど、僕は正直言ってそういうのはどうなんだろうって感じてる。特に子供がいる場合にはね。鷲崎さんは結人くんの実の母親じゃないけど、ずっと母親代わりに彼を育ててくれた人なんだ。しかも結人くん自身、以前は鷲崎さんに対する反発心もあったものの、今ではずいぶんとマシになって、口ではつっけんどんなことを言いつつも、でも実際には彼女のことをすごく気遣ってるのが分かるんだ。


あと、甘えてるよね。鷲崎さんに。それを指摘したら本人は間違いなく否定するだろうしよそよそしくなるかもだけど、傍から見てる分には鷲崎さんの傍にいることを嫌がってないのは分かる。それが彼にとっての『甘え』なんだと思う。本当は鷲崎さんのことが好きなんだよ。ううん。それは前から分かってた。だから、喜緑さんが鷲崎さんに乱暴しようとしてるって誤解して飛びかかろうとしたことだってあったんだし。


思えば、それが切っ掛けで彼の様子が劇的に変わっていったんだろうな。あの時には、沙奈子も巻き込まれてちょっとした打ち身とか擦り傷とかがあって、結人くんはそのことを今でも気にしてるらしい。だから沙奈子を守ろうって思ってくれてるみたいなんだ。


本当に不器用で自己表現が下手だけど、本質的にはいい子なんだよ。


僕は、自分自身が完璧でないことは分かってるし、なんだかんだと周囲に甘えてることは自覚してる。だから沙奈子や結人くんが、そして玲緒奈れおなが、僕に甘えようとしてる時にはそれに応えたいと思うし、応えていいと思ってる。それに、どうしたって甘えたくても甘えられない時だってあるんだから、そういう時には頑張ってもらうだけだ。その代わり、甘えられる時には甘えたらいいはずなんだ。


『他人には厳しいのに自分にはすごく甘い』


そんな大人は世の中に溢れてる。そんな大人がいくら『甘えるな』って言ったって何の説得力もない。自分の行いを『あいつが悪い!』って言って他人の所為にして正当化しようとする大人の言ってることなんて真に受ける必要はないよ。



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