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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1944/2601

千九百四十四 玲緒奈編 「ちゃんと自分で考えてる」

十月二十三日。土曜日。晴れ。




今日は、久しぶりに千早ちはやちゃんと大希ひろきくんが、星谷ひかりたにさんと一緒に例の旅館に出掛けることになった。


これもある意味では、『家族水入らず』っていうことなんだろうな。千早ちゃんにとっては星谷さんが『お母さん』で、星谷さんにとっては大希くんとの貴重な時間でってことだし。


水族館については、まだデザインのアイデアにも余裕があるから。そんなわけで、沙奈子は、今日は三階で玲那と二人きりだ。結人ゆうとくんは、玲那もいるとはいっても大希くんがいないことで男の子は自分一人になるのが照れくさいらしくて、今日は自宅で、鷲崎わしざきさんと二人で過ごすらしい。喜緑きみどりさんは仕事なんだって。


そんな日もあるよね。


だけど玲緒奈れおなはまったくいつも通りにウォール・リビング内を猛然と進撃しまくってる。「ふごっ!。ふごっ!!」と獣みたいな声を上げながら。ハイハイでも、びっくりするくらいの速度で進んだりすることもある。しかも、つかまり立ちも伝い歩きもお手の物だ。「ぶーあ!、ぶーあ!!」と掛け声を上げながら壁伝いに行ったり来たり。


そして疲れてきたら僕の膝に座るか、トンネルの中にこもって寛ぐ。ご飯やリンゴジュースとかがもらえるとなると、


「ぶあーっ!!」


って咆哮して、今度は絵里奈の膝にどっかと座る。ちゃんと、


『寛ぐ時はパパの膝』


『ご飯やジュースの時はママの膝』


と分けて考えてるみたいだね。しっかり自分で考えてるのも分かる。大人と同じことができないからって馬鹿にするのは見下すのは違うって感じる。


玲緒奈は、『人間』だよ。大人よりは確かに未熟でも、決して『獣』なんかじゃない。僕と絵里奈の『子供』を獣扱いすることは認めない。


『他所様の子供を獣扱いする』


ような人を信頼したいとは思わない。それを改めて実感する。子供を人間扱いしないから、殴ったり蹴ったり煙草の火を押し付けたりできるんじゃないの?。そして、自分を人間扱いせず獣扱いするような相手を信頼したいと思える?。尊敬したいと思える?。


少なくとも僕は思えないな。僕を、『家に勝手に住み着いた野良猫』のように扱った僕の両親のことは決して許さないし敬ったりしない。ただ、沙奈子や玲緒奈にとっては『お祖父ちゃん』『お祖母ちゃん』だから、あからさまに罵ったりしないだけだ。そうやって『誰かを罵る親の姿』を、僕の子供の前では見せたくないだけだ。


それを『上辺だけだ』という人もいるかもしれないけど、上辺だけを取り繕って立派な大人のふりをしてるだけの人にそれを言われたって、なにも響かないよ。僕がしたいのは『立派な大人のふり』じゃない。目先の感情ばかりを優先する大人の姿を見せたくないっていうだけなんだ。



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