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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1943/2601

千九百四十三 玲緒奈編 「特別扱いはしないと」

十月二十二日。金曜日。晴れ。




誰もが『舵取り役』を目指して、『舵取り役になれる能力』ばかり磨いてて、それで本当に世の中が成り立つんだろうか?。『舵取り役を目指していたけどそれになれなかった人』は、舵取り役をしてる人の下でコツコツ地道に目立たず裏方としての仕事をまっとうできるようになるんだろうか?。そんな立場に甘んじててくれるんだろうか?。


僕はそれが疑問で仕方ない。大きな声を上げて大きな身振り手振りで他の人たちに道を指し示すようなタイプの人って、裏方としての仕事に向いてるのかな。


実際、上に立てなかったことで僻んで拗ねて腐ってってしてる人がいるように思うんだけどな。それよりは最初から、裏方として地道に仕事をこなせるタイプの人もいた方がいいと思うんだけどな。


沙奈子は、『SANAのデザイナー』としての仕事をすることになるだろうけど、でも、経営とか旗振り役とか舵取り役に向いているという印象は、少なくとも今のところはないかな。それはあくまで星谷ひかりたにさんみたいな人の役割であって、沙奈子のそれじゃない気がする。星谷さん自身、


「沙奈子さんには、いずれ、『SANAの顔』としての役割を担っていただくことになると思いますが、企業運営の実務については、あくまで私と絵里奈さん、もしくは今後その適性のある方を据えて対処していくことを考えています。沙奈子さんに企業運営の才覚がないのでしたら、無理にそれをしていただくよりもデザイナーとしての仕事に集中していただくことが合理的であると私は考えます。『SANAの顔としての役割』をお願いするとしても、あくまで『顔』を演じていただければ十分でしょう。


人には向き不向きがあります。適性のない方に無理をさせても効率は上がりません。結果も出ません。いずれ『SANA』が大きくなってきたとしても、山下家の方々を『創業者一族だから』という理由で優遇することはしません。あくまでその方の能力によってポストを決めさせていただこうと考えています。よろしいでしょうか?」


きっぱりとそう言ってくれてるって。それに対して絵里奈も、


「はい、それでお願いします。ただの身内贔屓で現実を見ないような企業には将来性はないと私も思いますから」


やっぱりきっぱりと言ってくれた。僕もそれでいいと思う。


それはつまり、玲緒奈れおなが将来、『SANA』に就職を希望しても、特別扱いはしないということ。玲緒奈にできる仕事をしてもらうということ。もちろん、『舵取り役としての適性』があるなら任せることはあっても、それがあるかどうかは、きっちりと見極めてもらわないとね。



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