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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1941/2601

千九百四十一 玲緒奈編 「何やらお怒りのご様子」

十月二十日。水曜日。晴れ。




玲緒奈れおなが僕の仕事の邪魔をしてどうしようもなくなったら、玲緒奈が寝てる間に仕事をする』


そう覚悟を決めたけど、今のところは、邪魔はしてくるんだけどしばらくすると飽きて、ウォール・リビング内を進撃し始める。壁に掴まってぐるりと一周。すると今度は反対周りにまた一周。と、途中で立ち止まってプルルッと体を震わせて、また壁に掴まってトンネルのところにまで来て、トンネルに入り、行ったり来たり。その間、僕は仕事に集中。


そうして今度はハイハイで僕のところまで来て、僕の太腿をバシバシと叩き始めた。そしたらまた力を入れ過ぎたのか痛かったらしくて、


「びゃああ~っ!!」


って泣き始めた。


「んもう、痛いんだったら叩かなきゃいいのに……」


絵里奈が呆れたように言うのを耳にしつつ、僕は、


「はいはい、痛かったね。ごっつんしたら痛いよね。パパも痛かったよ」


本当はそんなに痛くもなかったけど、『叩いたら痛い』ということを理解してもらうためにそう諭す。と、


「あ、やっぱり、おしっこしてたね。おむつ替えようか」


僕が抱いてあやすと少し落ち着いてきたのと同時におしっこの臭いがしたから、さっき、壁に掴まって状態でプルルッと体を震わせたのはおしっこしたからなんだろうなと悟って、おむつを替える用意を始める。すると絵里奈は言わなくてもウォール・リビングの外に置いてあるパンツおむつを取って渡してくれた。いつものことだからお互い慣れてるんだ。


そして絵里奈が玲緒奈の体を支えて立たせてくれてるのを、さっと古いおむつを脱がせて、すかさず新しいおむつを穿かせた。手際よくやらないと玲緒奈の機嫌が悪くなるからね。実際、絵里奈に抱えられて自由にならないことが不満らしくて、


「ぶーっ!」


って唇を震わせ始めたんだ。これが出ると我慢の限界なんだよね。しかも、


「ママッ! ぶああっ! ママッ!!」


とまで言い出した。


「ママ、放せ!。ママ!」


ってことなんだろうなと察する。だから絵里奈が手を緩めるとその場に座り込んで、またトンネルに入り込んで今度は出てこなくなった。


「何してるのかな~?」


とトンネルを覗き込むと、


「ぶあーっ!!」


何やらお怒りのご様子。一人で寛いでるところを邪魔されてご立腹らしい。


「はいはい、ごめんごめん」


僕は謝りながら仕事に戻った。


その後、五分くらいしてからそっと中を覗き込むと、トンネルの壁にもたれて座り込んで、盛大に拳しゃぶりしてた。だから僕は、


「そろそろリンゴジュースでもあげようか?」


絵里奈に声を掛ける。すると絵里奈も、


「そうですね」


言いながら立ち上がり、ミニキッチンへと向かって壁を乗り越えた。すると玲緒奈はそんな絵里奈を猛然と追いかけるようにしてトンネルから出てきて、ミニキッチン側の壁に掴まって、


「ぶるるるるる! うぶるるるるる!」


だって。


「さっさとジュースをよこせ!」


って言ってるのかもしれない。



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