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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1940/2601

千九百四十 玲緒奈編 「話し合ってもいい相手」

十月十九日。火曜日。曇り。




僕たちは、家族でちゃんと話し合う。そしてそのために、


『話し合ってもいい相手』


でいることを心掛ける。だって世の中には、『話し合いなんかしたくない!。顔も見たくない!』っていう人もいるからね。しかも、家族の間でさえ。


そんな関係になってしまった後で『話し合おう』とか言ったって、『無理!』って思われることの方が多いんじゃないかな。自分が他の家族から『話し合ってもいい相手』でいる努力もしないで、


『話し合いに応じてくれない!』


なんて、『甘え』以外のなんだっていうんだろう。家族だからって無遠慮に乱暴な態度を取ったり理不尽なことをしたりしていいわけないと僕は思うんだけどな。


イチコさんも大希ひろきくんも、山仁やまひとさんとは今でも当たり前のように一緒にリビングで過ごすし、たくさんのことを話したりするそうだ。それはもう、本当にたくさんのことを。


だからイチコさんも大希くんも、『反抗期らしい反抗期』がなかったって。反抗しようにも、ちゃんと話を聞いてくれるから、感情的になる必要がないんだ。それでいて、何でもかんでも言いなりになるわけじゃない。できることは受け入れるけど、できないことはできないと丁寧に説明してくれるって。『なぜできないのか?』っていうことを、納得するまで丁寧にね。


だからイチコさんも大希くんも、他人に対して攻撃的じゃない。姉弟って、姉が理不尽なことをしてきたりすることもあるらしいけど、イチコさんと大希くんの間では、それはほとんどなかったって。これは、六歳も歳が離れてるからっていうのもあるとしても、それだけじゃないと僕は感じてる。イチコさんの大希くんへの態度を見ててもね。イチコさんは大希くんのことをちゃんと『一人の人間』として見てるんだ。決して、


『姉だから弟に対して何をしてもいい』


みたいには思ってない。これは、山仁さんが、


『親だから子供に何をしてもいい』


と思ってないというのと同じなんだろうな。山仁さんの在り方が、イチコさんにも受け継がれてるんだ。そしてイチコさんに理不尽なことをしないから、イチコさんも大希くんに理不尽なことをしなくて済んでる。


これは、千早ちはやちゃんの家庭と比較すると分かりやすいかな。お母さんから理不尽に怒鳴られたり殴られたりしたお姉さん二人は、千早ちゃんに対して自分がされたのと同じことをしてたそうだから。


身近にこんなに分かりやすい事例があるのに、それを参考にしないというのも、大人としてどうなんだろうと僕は思うんだ。



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