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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1939/2601

千九百三十九 玲緒奈編 「同じ轍は踏まないように」

十月十八日。月曜日。晴れ。




昨日、玲緒奈れおながいきなり『ママ』『パパ』と言い出したことについて、


「いいな~!。いいな~!。羨ましい~!」


玲那がそう言って、沙奈子まで、


「私は、なんて呼んでくれるのかな……?」


ビデオ通話越しに言ってきた。千早ちはやちゃんと大希ひろきくんも、


「そっか~!。やっとか~!」


「よかったですね」


と言ってくれる。結人ゆうとくんからは特に何もなかったけど、彼はそういうの、照れくさがるからね。別にいい。


ところで、玲緒奈が絵里奈をひっぱたいたことについては、


「絵里奈の手を叩いた時に自分の手も痛くてそれで泣いてしまったみたいだから、これからも、『叩いたら自分のお手々も痛いよね。だからママも叩かれて痛かったんだよ』って諭していこうと思う。すぐには分かってもらえないと思うけど、根気強く諭していこう。だからごめんね」


そう言いながら、僕は絵里奈の頬を撫でた。


「はい。パパがこうやって慰めてくれるなら、私は大丈夫です。ちょっとショックだったけど、今はまだ分からないですもんね。私自身は、母がすぐ叩いてきたそうなので、物心つく前後の頃の私は、すぐに人を叩く子供だったそうです。本当言うと、うっすらと覚えてるんです。何かと言うと相手に食って掛かって叩いたりする問題児って学校では思われてたって……。だから玲緒奈にはそうなってほしくありません。母のように何かといえば叩いてたのに私がそうなったんですから、パパの言うように、『叩いちゃいけない』ってことを学ぶ前に『気に入らないことがあったら叩いていい』っていうのを学んでしまう可能性が高いんだろうなって、自分の経験から思うんです」


その絵里奈の言葉に、僕も、


「そうだね。玲那も赤ん坊の頃から実の両親に散々暴力を振るわれてきたから、内心ではいつも他人に対して攻撃的な気持ちでいたって言ってたし、千早ちゃんや結人くんはまさに『暴力で何でも解決する』っていう考えになってしまってたからね。同じ轍は踏まないようにって思うんだ。『気に入らないことがあったら叩いていい』っていうのを学んでしまってから『叩いちゃいけない』っていうのを押し付けるっていうのは、とても効率的とは思えない。合理的とは思えない。最初から、『気に入らないことがあったからって叩いちゃいけない』って学んでもらった方が間違いなく早いし確実だと思うんだ」


と返す。こうやって僕たちは、大事なことをちゃんと話し合う努力をする。その努力もしないで、『分かってくれない!』と不満を漏らすことはしたくないんだ。



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