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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1934/2601

千九百三十四 玲緒奈編 「困るのは誰なんだろうね」

十月十三日。水曜日。曇り。




『ケーキ屋の経営についていろいろ勉強して思い知ったんだよ。夢だけじゃ好きだけじゃ食ってけないって』


まだ中学生の千早ちはやちゃんのその言葉に、僕は内心、驚かされていた。僕も中学生の頃にはもう、『さっさとこんな家から出てって縁を切りたい!』って思ってたのは確かにあるけど、だからって自分が本当に自活できるかっていうことまでは深く考えてなかったと思う。とにかく働いてたら何とかなるだろうって思ってただけで。


その点、千早ちゃんはすごくよく考えてると思う。もちろんそれは星谷ひかりたにさんがいてくれるからというのが大きいとしても、星谷さん自身が言ってる通り、千早ちゃん自身が学校の勉強もしてその上でケーキ屋を経営する上で必要なことについても勉強してるっていうのがあってのことだと思うんだ。ただ『ケーキ屋さんをやりたい!』と思ってるだけじゃなくて本人が具体的な努力をしてるから。その一方で、そういう具体的な努力ができるようになったのも星谷さんがいたからというのも事実だとは思う。


でも、努力できる環境にあってもしない人もいるんだろうな。その点では千早ちゃんは実際に努力してるのが伝わってくる。だからこそ星谷さんも力になってくれる。


それにしても、千早ちゃんが言ってたように、『年収八百万円未満は社会のお荷物』とか言うんなら、母親としては必ずしも褒められなくても看護師としては優秀だっていうお母さんが、それで年収四百万円台というのは確かにおかしいと思う。優秀な看護師でさえ『社会のお荷物』って言われる程度の給料しかもらえないというのは、どう考えてもおかしいと思うんだ。ものすごく大事な仕事のはずなのに、真面目に働いても『社会のお荷物って言われる程度の給料』って、どういうこと?。


『世帯年収一千万円以下は社会のお荷物』とか『年収八百万円未満は社会のお荷物』とか最近は聞くようになった気がするけど、世帯年収なのか個人の年収なのかも曖昧だし、そもそも何の根拠があるのかよく分からない。そんな風に誰かを貶めて何がしたいんだろうって思う。


もし、『世帯年収一千万円以下は社会のお荷物』とか『年収八百万円未満は社会のお荷物』とかいうのが本当なら、優秀な看護師にさえ『社会のお荷物って言われる程度の給料』しか出さないというのはおかしいはずだし、優秀な看護師にさえ年収四百万円台しか出せないのが当たり前なら、『世帯年収一千万円以下は社会のお荷物』とか『年収八百万円未満は社会のお荷物』とかってことになるのがおかしいんじゃないの?。


『社会のお荷物って言われたくないんならもっと稼げる仕事しろ』みたいに言うんだったら、『社会のお荷物って言われない仕事をする』ために看護師がみんな転職したら困るのは誰なんだろうね。



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