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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1929/2601

千九百二十九 玲緒奈編 「お姉ちゃんが写ってるね♡」

十月八日。金曜日。曇り




昨日の夜、関東の方で震度五強の地震があったらしい。被害そのものはすごい大変なものじゃなかったみたいだけど、電車とかが止まったり、家の中がメチャクチャになって困った人が多かったりしてるようだ。


僕たちも改めて備えについて考えないといけないように思う。


ウォール・リビングの壁の向こうに設置したテレビも、転倒防止の対策はしてある。テレビ台そのものにテレビを固定して、その上で、テレビ台自体が倒れないようにも工夫してるんだ。見た目はあんまりよくないけど、基本的には家族だけだから。ここにいるのは。


さらに、以前は別の位置に設けてた『玲緒奈れおなトンネル』も、敢えてテレビの前に位置するように移動させた。トンネルも、ウォール・リビングの壁と同じ段ボールで作ってあるからちょうど高さが同じで、どう頑張っても玲緒奈の手がテレビに届かないようにした。これなら、テレビを点けてもトンネルの幅の分だけ距離が取れて、へばりついて見るような形にはならないからね。


こうすると、ビデオ通話もしやすくなる。加えて、大きな地震があった時に、テレビが倒れてくるんじゃなくて、人の方がテレビに向かって倒れ込むような可能性も減ると思う。


ちなみに、トンネルの天井部分も壁部分も段ボールを何枚も重ねてるから、沙奈子が座ったくらいじゃ潰れない程度の強度は確保できた。もちろん、だからって上に乗っていいわけじゃないから『乗るのは禁止!!』『玲緒奈がつぶれる!!』とマジックで大きく書いてある。


そう。玲緒奈がトンネルで遊んでる時に誰かが上に乗って潰れたら、それこそ大変なことになるからね。沙奈子はもちろん最初からそんなことをするタイプじゃないから心配してないけど、用心のためだ。


ところで、修学旅行の間の写真を、沙奈子だけでなく千早ちゃんや大希くんも撮ってくれてたから、それを私用のパソコンに取り込んで、テレビ画面に映して見ることにした。ただ、下手に操作してると玲緒奈が触りたがるから、ただただ自動で写真が切り替わっていくようにしてある。


「おおっ!?。ぼあっ!。うぶぶあっ!!」


テレビの画面に次から次へと映る沙奈子たちの姿を見て、僕の体に捉って立ってる玲緒奈が指差しながら声を上げた。


「おお!。お姉ちゃんがいる!」


みたいなことを僕に教えようとしてるのかな。画面を指差してたかと思うと僕の肩をばんばんと叩いて、


「ぶあっ!。ぶあっ!!」


って叫んでたりもするんだ。


「見ろ!。見ろ!!」


と言ってるのかもしれない。だから僕も、


「そうだね。お姉ちゃんが写ってるね♡」


そう応えたんだ。



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