表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1923/2601

千九百二十三 玲緒奈編 「イジメやってる奴らの」

十月二日。土曜日。晴れ。




今日は、沙奈子たちは水族館には行かずに、うちの三階でゆっくりしてる。玲那も一緒に。ドレスのデザインのアイデアが十分に溜まってるからだ。


そして玲緒奈れおなは、結構な時間、ウォール・リビングの壁で支える形で立っていられるようになってきた。立ってる時の様子もふらふらと不安定な感じじゃなくなってきてる。これなら『伝い歩き』もそう遠くないうちに始めそうだ。


他の子と比べて遅くても違ってても気にしないようにはしてるけど、それでも、できてくれるのはすごく嬉しい。


そんな玲緒奈を見ながら、千早ちはやちゃんたちの話を、ヘッドセットで聞く。


「なんかさ、学校で配られたタブレット使ってイジメしててそれでイジメられた子が自殺したって話あるじゃん? でも、うちの学校、そこまでじゃないじゃん。なんで同じことができないんだろうね」


「そうそう、それが不思議なんだよ。だけどさ、学校もそうなんだけど、私はイジメてた方の子らがなんでそんなことすんのか不思議でしょうがないんだ」


「うん、僕もそれが不思議だよ。僕はそんなことしたいと思わないのにな」


「私も……」


千早ちゃん、玲那、大希ひろきくん、沙奈子が次々と口にする。僕はそれを黙って聞いてた。絵里奈も同じようにして聞いてる。僕たちがこうして聞いてることを、千早ちゃんたちも知ってる。ビデオ通話を繋いでるからね。だから、みんなでリビングに集まって話してるのとほとんど同じなんだ。


その中で、千早ちゃんが熱弁を振るう。


「私も今じゃイジメなんてしたいとも思わない。だけどさ、それが何でかって考えたら、こうやってみんなでいろんなことを話せるからなんだよ。嫌なこととかムカつくこととかもさ。


大人ってさ、すぐ『あれ言っちゃいけない』『これ言っちゃいけない』って言うじゃん?。『親を敬え』『大人を敬え』『目上を敬え』って言うじゃん?。『親とか大人とか目上の人とかを批判しちゃいけません』って言うじゃん?。でもさ、『批判すんな』って言うんだったらさ、批判されないような親とか大人とか目上になれってんだよ。ルールは守らない、ちょっとしたことですぐキレる、嘘ばっか吐く、不倫とかもそうだ。自分らはそんなクソみたいな真似しといて子供には『ちゃんとしろ!』とか言う。ちゃんとしてないのはお前らだろ!。でもそうやって正直な気持ちを口にしたら、『子供のクセに!』って言うんだ。そんな奴らの言うことなんか、なんで素直に聞いてやんなきゃいけないんだよ。ふざけんな!」


と、そこまで強い口調で言って、


「と、そんな風に思うわけ。でさ、そういう不満をさ、大人にはぶつけられないの。だからぶつけやすい相手にぶつけるんだ。私がそう。ヒロのことで沙奈にムカついた時、沙奈だったら何やったっていいと思ってた。私の目の前からいなくなればいいと思ってた。それこそ死んでほしいと思ってた。それ考えたらさ、イジメやってる奴らの気持ちも分かる気がするんだよね……」


さっきまでとは打って変わって、すごくつらそうにそう言ったんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ます"嫌いだからの虐める"と 今問題になっている"イジメ"は 違うと言うことは明確にしないといけないと思います 嫌いだから虐めるは、逃げられるんです 仲間も逃げ道も作れるんです 正義の味方も…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ