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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1912/2601

千九百十二 玲緒奈編 「まったく疑問なんて」

九月二十一日。火曜日。晴れのち曇り。




世の中には、自分が昼間働いていてそれで家に帰ってからも子供の面倒を見ることに納得できない男性がいるそうだ。


そういうのをどう感じるか考えるかは人それぞれだからいいとか悪いとかは言うつもりもないけど、少なくとも僕は、まったく疑問なんて抱かない。僕自身が好きでやってることだし。


それに、絵里奈を見てて思ったんだ。


悪阻があったり、胃腸の働きが弱ったり、トイレがやたら近くなったり、便秘がひどくなったり、ガスが溜まったり、胎動が始まれば昼も夜も関係なくポコポコお腹を蹴られて眠れなかったり気が休まらなかったり、いよいよお腹が大きくなってくれば、腰は痛くなるし、圧迫感で息苦しくなったりでそれこそ満足に寝られなくなるっていうのが毎日二十四時間ずっと続くんだ。


しかも、場合によっては、妊娠中毒や妊娠糖尿病や貧血や骨粗鬆症になることだってあるっていうし。


その上、産む時にはまさしく命の危険にも曝される。


それだけじゃない。生まれてからだって、まともに寝る時間もなくおっぱいやおむつ替えに追われるんだ。


仕事をして帰ってきて、奥さんの代わりに子供の面倒を見て、


『休みがない!。おかしい!』


って感じる人もいるらしいけど、自分がそうやって子供の面倒を見てる間、奥さんは本当に休んでるのかな?。食事の用意や後片付けやお風呂の用意とかさせてないかな?。それをさせてたら、奥さんは別に休んでるわけじゃないよね?。さらには新生児の場合だと、夜の間も何度もおっぱいをあげておむつを替えてってするだろうし、その間、自分はどうしてるの?。同じようにミルクをあげたりおむつを替えたりしてるの?。それをせずにぐっすり寝ているのなら、自分が寝ている間にも奥さんはずっと子供の世話をしてるんじゃないのかな?。


こう言ってもなおあれこれ言うのならそれはそれで個人の勝手だと思うし批判するつもりもないけど、僕は絵里奈のことを愛してるから、彼女を労わりたいと素直に思った。その僕自身の気持ちに正直になったから、絵里奈と一緒に玲緒奈を育ててきた。


今は、家のことはほとんど絵里奈に任せきりになってる。食事の用意も、掃除も、洗濯も。ウォールリビング内のことは玲緒奈との兼ね合いもあって僕もするし、散歩や買い物は、最低限は体を動かしたいからというのもあって僕もやってる。三階は沙奈子たちが掃除してくれてるし『SANA』の事務所は玲那とイチコさんと田上たのうえさんがやってくれてるけどね。


だけど、別に、


『絵里奈は楽をしてる!』


とは思わないんだ。それに今月いっぱいで育児休業も終わるからね。



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