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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1909/2601

千九百九 玲緒奈編 「耐えられない人たち」

九月十八日。土曜日。曇り。




今日も、沙奈子たちは玲那に先導されて自転車で水族館に向かう。『自転車で行く』というのが沙奈子も気に入ってくれたみたいだ。もちろんそれは、『電動アシスト自転車だからその分だけ楽ができる』からだと思うけどね。体を動かすのはあまり得意じゃない。ううん、別に『嫌い』ってわけでもないんだけど、だからって『得意』ってわけでもない沙奈子にとっては、ちょうどいい感じだったらしいんだ。


自転車で移動する爽快感と、『疲れすぎない』っていうのが上手くバランスがついてたみたいだ。これは大希ひろきくんも同じだったらしい。半面、千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんには『こんなもんか』って感じだったらしいけどね。『楽すぎた』ってことかも。二人には、玲那の『三代目黒龍号』のようなスポーツタイプの自転車の方がよかったのかもしれない。


こんな風に、親や親同然の人でも子供のことを完璧に分かってるわけじゃないのも現実なんだ。だったら、


『親の言うとおりにしてれば全部上手くいく!』


なんて、なんで言えるの?。親でさえ子供のことを百パーセント理解できるわけじゃないのに。『親ガチャ』って言葉を自分の子供が使い始めたら、どうしてそんな言葉を使いたくなったのか、本当に分かるの?。沙奈子も千早ちゃんも大希くんも結人くんもそんな言葉、愚痴としても使わないよ?。千早ちゃんは今も『親ガチャ』って言葉を使いたい気持ちはあるらしいけど、山仁やまひとさんに対しては少なくとも使ってない。それを口にしたいと感じる相手じゃないから。


そして、波多野さんの言ってた、


『あんな親でも親であるだけで感謝しろ、みたいな言い方をされるのは我慢なりません』


という言葉は、僕たちにとっても共感しかない言葉だった。僕の両親だって、絵里奈の両親だって、本音を言えば『親ガチャに外れた』って思いたくなる両親だ。特に絵里奈の両親は、経済的にもまあまあ問題ないレベルで、ただ実の母親が田上たのうえさんのお母さんに似たタイプだったことと、その実の母親が離婚したことで新しく母親になった人とも反りが合わなくてっていうのはあっても、世間的には『立派な親』って言われる親なのは事実だと思う。でも、絵里奈にとっては、


『この人たちと同じ家庭にいるのは心底嫌だった』


と思える人たちだった。それを世間に向けて発信すれば間違いなく絵里奈の方が袋叩きにされると思う。でも、絵里奈にとっては耐えられない人たちなんだよ。


そして絵里奈にとっては、叔父にあたる人こそが『親』って思える人だった。


もちろん絵里奈の叔父さんには、玲緒奈れおなが生まれたことは伝えてある。『新型コロナウイルス感染症』のこともあって、玲緒奈を会わせることはできてないけどね。その代わり、ビデオ通話越しでは、会ってもらってるんだ。



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