表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1872/2601

千八百七十二 玲緒奈編 「お互いの生き方を尊重する」

八月十二日。木曜日。曇り。




本来は他人のはずの男女が、『結婚』という形で『家族』になる。『養子縁組』も、実際にやってみて知ったけど、手続きも書類の書式も、結婚と似てる。


『他人が法律上の家族になる』という意味では、どちらも同じことだからかもしれない。


確かに、公的な手続きを踏まなければ、『法律上の家族』にはなれないかもしれない。山下家と山仁やまひと家と千早ちはやちゃんと星谷ひかりたにさんと波多野さんと田上たのうえさんと結人ゆうとくんの間には法律上の繋がりはなくて、法的な権利や義務はないのかもしれない。


だけど、『人の繋がり』っていうのは、それだけじゃないよね? 


『自分の人生を対価に差し出してでも力になりたい友達がいる』


そんな人だっているだろうし、それは別に間違ってはいないんじゃないかな。共倒れになることがあるとしても、当人が覚悟の上で選択したのなら、周りがとやかく言うことじゃないと思う。


確かに、沙奈子がそんなことになったら、つい口出ししてしまいそうな気はするけど。でも、最終的には『沙奈子が選んだことなら』と認めてしまいそうな気もする。


だって、選択してから『やっぱりやめておけばよかった』と後悔するような安易な決断はしない子だっていうのも感じてるし。沙奈子は、考えて考えて考えてその上で覚悟を持って選択する子だと思うんだ。


そしてそれは、千早ちゃんや大希くんもだって印象がある。結人くんもいずれはそうなってくれる予感がある。


千早ちゃんについては、もうすでに山仁さんの娘さんだと言っても何の違和感もないくらいに馴染んでるし、何より、ものの考え方が明らかに山仁さんの影響を受けてるんだ。過去の、沙奈子への態度とか、それ以前の自分の振る舞いとかについても、正当化しないしましてや武勇伝のように語ったりもしない。


結人くんも、鷲崎わしざきさんや喜緑きみどりさんとは敢えて少し距離を取ることで、お互いの生き方を尊重するようにもなってきてる。鷲崎さんと喜緑さんがもし結婚するとしても、結人くんはそれに対して口出しはしないつもりなんだそうだ。


鷲崎さんと結人くんは、いまでも名字が違うことからも分かるように、養子縁組はしていない。だから法律上の家族じゃない。鷲崎さんは『保護責任者』ではあっても、『親』じゃない。その鷲崎さんが喜緑さんと結婚しても、結人くんは喜緑さんとはそのままじゃ『親子』にはならない。結人くんが二人の『法律上の子供』になるためには、それぞれと養子縁組をする必要がある。


それでも、少なくとも今の時点でも、結人くんと鷲崎さんは『家族』だと思う。そして、家族だからこそ互いを尊重してるんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ