表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1866/2601

千八百六十六 玲緒奈編 「僕たちが無理なく生きて」

八月六日。金曜日。晴れ。




実は、今日までの三日間、沙奈子の学校で『学習会』があった。家だと夏休みの課題が捗らなかったりする生徒や、自主勉強をする生徒のために用意されていたものだった。だけど、沙奈子たちには必要なかったな。何しろ、学習会が始まる前にすでに課題は終わらせていたし、それからも毎日、うちの三階に集まって自主勉強をしてるから。それが完全に習慣付いていて、同時にみんなが集まって遊べる理由にもなってるから、嫌々やる必要がないんだ。


そのためなら、うちの三階を開放しても十分にお釣りがくるよ。それに、この家に引っ越すまでは、ずっと、山仁やまひとさんの家で沙奈子がお世話になってたからね。これだけじゃ恩を返しきれない気もするけど、できる限りはと思う。


それに僕たち家族としては、二階のリビングだけで十分に間に合ってるしね。それも、玲緒奈れおなのために用意した『ウォール・リビング』だけでほとんど。


沙奈子も、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんが帰った後はずっと二階の和室でドレスを作ってるし。


もっとも、『新型コロナウイルス感染症』の影響で、水族館以外にはなるべく出掛けないようにしてるから、朝から夕方まで、ずっと、沙奈子も千早ちゃんも大希くんも結人くんも三階にいることが多い。お昼は、千早ちゃんが持ってきた食材で自分たちで作って食べる。それどころか、一階の厨房で作るから、ついでに、『SANA』で仕事してる玲那やイチコさんや田上たのうえさんにまでついでに昼食を用意してくれてるんだ。


ちなみに食材を負担してるのは、星谷ひかりたにさん。食材を宅配で届けてくれるサービスを利用して山仁さんのところに届いたのを千早ちゃんと大希くんが持ってくる形だね。


この辺りも、


「千早とヒロ坊くんがお世話になってますから」


という名目で用意してくれてるんだ。その残りで、玲緒奈の離乳食を作らせてもらったりもしてる。


本当に僕たちは、山下家、山仁家、星谷さん、波多野さん、田上さん、結人くんで一つの家族みたいになってると感じる。こうやってみんなで力を合わせて生きていこうとしてるんだ。


しかも、誰か一人におんぶにだっこというのじゃなくて、それぞれが力を出し合って。


昔はきっと、こういうのも別に珍しいことじゃなかったんだろうな。


もちろん、だからって『昔の方がよかった』みたいなことを言うつもりもないんだ。昔は昔で、いろいろ問題はあったんだと思う。でも、同時に、何もかもを否定してしまう必要もないんじゃないかな。それに僕たちは、『昔のやり方をしようとしてる』わけじゃないしさ。僕たちが無理なく生きていこうと思ったら、たまたまこういう形になったっていうだけでね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ