表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1863/2601

千八百六十三 玲緒奈編 「情けないんだけど」

八月三日。火曜日。雨のち曇り。




今日は久しぶりに、朝から雨だった。このところ夕立という形が多かったからね。


でも、昼までにはやんで、後は曇りに。


結構な雨の中、僕は打ち合わせのために出勤。バスでもよかったんだけど、ちょっと不安だったから、レインポンチョを着けて自転車で。


自転車の前カゴまで覆うタイプのものだ。これだと、覆われてるのは頭と上半身の一部だけで他は風が当たるので、全身を覆うタイプのに比べると涼しい。冬場は全身を覆ってくれるタイプの方が風を防いでくれていいんだけど、夏はね。


足元も思ったほどは濡れない。


そんな中、大人が傘差しで自転車を運転してるのを見る。昔に比べるとレインコートやレインポンチョを着けてる人が増えたような印象はあるものの、いまだに傘差しで自転車を運転する人も少なくないんだ。


『暑いから』『面倒臭いから』『格好悪いから』


なんて理由で大人がルールを守らないで、どうして子供に『ルールを守れ』なんて言えると思ってるんだろう。しかも、自分がルールを守らないことを正当化するために言い訳まで考えて。


本当に情けない……。情けないんだけど……。


打ち合わせは昼過ぎまでで終わって、僕は、会社に残って仕事をするんじゃなくて、自宅に戻ってするのを選んだ。正直、自宅だと『定時』を守れなくて、結局は寝る直前くらいまで仕事をしてることもある。これもある意味じゃ『ルールを守ってない』状態だという気もするから、他の『ルールを守ってない人』に強く言える資格はないんだろうな。


そうだ。すべてのルールを完璧に守って『百パーセント正しい生き方』をしてる人なんてたぶんいない。でも、僕は、『正しくないことをしてる自分を正当化する』のは違うと思うんだ。正しいだけじゃいられないからって、好ましくないことをしてる自分を正当化するというのは、また別の話なんじゃないかな。


『万が一の事故の時に法律上守ってもらえるように普段から交通ルールを守った方がいい』


沙奈子にそう話した通り、『自分は正しいことをしてる』と優越感を得るためにルールを守るんじゃなくて、あくまで自分を守るためにルールに従うことを心掛けるようにしたいだけなんだ。


帰りは雨はやんでたけど、そんな中、後輪側のフレームに傘を挟むようにして固定して自転車に乗ってた人が、突然、ガリガリバリバリって音をさせながら危うく転倒しそうになってた。それも、車道側へ。走っている間に傘がずれて後輪に巻き込まれたみたいだ。


幸い、転倒まではしなかったけど、もし、あのまま車道側に転倒してそれを自動車が轢いてしまってたら、どうなったんだろうな……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ