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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百五十九 玲緒奈編 「僕が大事にしたい部分は」

七月三十日。金曜日。晴れ。午後から強い夕立。




例年に比べるとほぼ十日遅れで、沙奈子の学校で終業式があった。明日からようやく夏休み。例年よりも短いのに夏休みの課題そのものは例年と変わらないそうだ。


「私らはどうせ最初に終わらすから余裕だけど、普通の生徒には辛いんじゃないかな~。ヤベーっす!」


午前中で学校が終わってうちの三階に集まって昼食も終え、早速夏休みの課題を始めた千早ちはやちゃんがしみじみ言う。


確かに、厳しいよね。ただ、いろいろ厳しいのはみんな一緒なんだろう。沙奈子たちが特別なんだと思う。昨日も、イチコさんの誕生日パーティの前に、星谷ひかりたにさんが用意してくれた『志望校の入試問題』を過去問から推測して作った模擬試験をやったけど、やっぱり余裕で合格ラインだったそうだ。結人ゆうとくんを除いて。


しかも今回は、彼の苦手な問題が出たみたいで、ボーダーラインを下回ったらしい。けれど星谷さんはそれを見ても、


「問題ありません。弱い部分を把握するためにやっていることですから」


と、平然としてたそうだ。


確かにまだ時間はある。そして、結人くんも真面目に勉強してるし、ゆっくりだけど伸びてきてるそうだ。焦る必要はない。




ところで、検診を受けた玲緒奈れおなも、何も問題なかった。健康そのものだ。相変わらずいろいろチェックするために触られて不機嫌になったりもしつつ、僕がなだめたらそんなに騒がないでいてくれた。


それで思ったんだけど、なにやら、『母子手帳』という名称について意見を持ってる人が最近は多いらしい。だけど、僕自身は、こうやって母子手帳に記載してもらっていても、父親のことを記入する欄が基本的にないから、『母子手帳』でいいと思った。名前に拘る必要性を感じないんだ。確かに、子供について気付いたことをメモする欄に父親が気付いたことを書いてもいいとは思うけど、だからって『母子手帳という名称で何か問題がある?』としか思わないし。


かつて、『イクメン』という言葉がもてはやされた時となんとなく似たような印象を受ける。『イクメン』とか『親子手帳』とかの名称ばかり気にしてて、本質がおざなりにされてるんじゃないかなっていう印象が。


拘りたい人は拘っててくれてもいいと思うけど、僕はそこまで関心はない。僕は自分を『イクメン』とは思わないし、『母子手帳』って名称にも違和感は覚えない。僕が大事にしたい部分はそこにはないんだ。


そんなことよりも、『子供をこの世に送り出すのは親の勝手』『子供が親を選んでやってきたなんて事実はない』って認める方が先だって感じるんだよ。



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