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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百五十八 玲緒奈編 「僕たち山下家としても」

七月二十九日。木曜日。雨のち曇り。




今日はイチコさんの誕生日。


彼女ももう二十一歳。大学に通いながら『SANA』に務めてくれてる。仕事が終わってから、すごく簡単だけど、


「おめでとう」


と、今日はバイトが休みの波多野さんも駆けつけて、みんなで祝った。簡単でありつつ、千早ちはやちゃん謹製のバースデイケーキは相変わらず立派だった。


「ストレス解消も兼ねて目いっぱい集中したぜ!」


三階で、沙奈子と大希ひろきくんと結人ゆうとくんと一緒にビデオ通話で参加しつつ、ガッツポーズをとる。本当は、みんなで一階に集まってとも思うんだけど、『新型コロナウイルス感染症』が、まだ完全には収まってないから、念のためにということで。


一階で『SANA』としての仕事をしてる時も、玲那、イチコさん、田上たのうえさんは、それぞれ、席を離して、クーラーも使いつつ、厨房の換気扇を回して換気しつつ、さらに扇風機を使って常に空気が滞留しないようにしてるんだ。


マスクもしつつね。しかも、『業務の一環』として事務所の清掃・消毒を一日二回、行ってる。ここまでやっても完全に防げるか分からないのが今回の『新型コロナウイルス感染症』というものらしい。インフルエンザについては感染者が滅茶苦茶減ってるらしいのにね。感染力の差ということなんだろうか。


実際、ウイルスによっては、ほんの数個が体に入っただけで感染するようなものもあれば、それなりにまとまった数が体に入らないと感染しないものもあると聞くし、それぞれ違うんだろうとは思う。だから、一律で同じような対策では済まないということなんだろうな。


星谷ひかりたにさんは、今日、都合がつかなくてビデオ通話で「おめでとうございます」とお祝いの言葉を述べるだけだった。でも、イチコさんもみんなも、星谷さんがどれほど自分たちを助けてくれてるかよく分かってるから、出席できないことについてはとやかく言わない。


特に田上たのうえさんは、両親のお金には手を付けずに自分だけで学費も生活費もと考えてるから、『SANA』の仕事がなければさすがに難しかった。何しろ『SANA』の仕事は、彼女の大学の講義に合わせてスケジュールも組めるから。こんなに都合よくスケジュールを組める企業も、そうは多くないだろうしね。


まだまだ個人経営の零細企業レベルだからこそ、融通が効くというのは間違いなくあるだろうね。


でもその一方で、『年一千万の給与』なんてのは現状では不可能だから、大きな顔もできないんだろうけどね。


僕たち山下家としても、僕と絵里奈と玲那の収入を合わせても、『世帯年収一千万』には遠く届かない。絵里奈が育児休業を終えて仕事に復帰して、さらに沙奈子の収入も合わせてようやく手が届くかもしれないというレベルだから。それを、『社会のお荷物』と言われるのは、いい気がしないよ。



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