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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百四十九 玲緒奈編 「僕と同年代と言われても」

七月二十日。火曜日。晴れ。


今日も暑い。すごく暑い。




実は今日から、沙奈子の学校は午前中だけの授業で、給食もなくなる。そして、みんなで、手洗い消毒を徹底するように言われたって。ただ、夏休みそのものは、八月からだった。三十一日が土曜日だから実質はそこから夏休みみたいなものだけど、いつもより十日、始まるのが遅い。


「ずっと休みだったから仕方ないっちゃ仕方ないんだろうけどさ、ムカつくよね」


千早ちはやちゃんは不満げだ。無理もないか。


勉強そのものは、沙奈子たちと一緒にやってる分には楽しいけど、授業は退屈で時間割通りに進められるのが気に入らないらしい。


「こう、『今はこの教科がしたい!』って気分の時もあるじゃん?。何となく数学をしたい気分なのに体育をさせられたら、めっちゃ萎えるんだよ」


「そうなんだ……?」


午前中だけの授業だったからお昼には帰ってきて、一階の厨房で自分たちでお昼ご飯を作って食べた後、三階で自主勉強を終わらせた千早ちゃんが、ビデオ通話でそう話してた。玲緒奈れおなが寝てたから、無線のヘッドセットを繋いだテレビをモニターにして顔を合わせる。ヘッドセットを使ってだから声も小さくて済むし。


すると、ミニキッチンで玲緒奈の離乳食を作ってた絵里奈も、


「それ、なんか分かる気がする。私は勉強はあまり好きじゃなかったけど、それでも、せっかくそういう気分になってるのに、他の教科させられると結局はどっちにも身が入らないんだよね」


だって。


僕はただただ両親の下から早く去りたかったからそれをモチベーションにして勉強してたのもあってか、体育とか音楽とか美術の時間はすごく無駄に思えて苦痛だったのは覚えてるけど、千早ちゃんや絵里奈が言ってることとは少し違ってるんだろうなとは感じた。


その点では、沙奈子と千早ちゃんと大希ひろきくんと結人ゆうとくんとで集まって星谷ひかりたにさんに見てもらって勉強してる時は、それこそ好きな教科を好きな形でやれるから集中できるっていうのもあるんだろうな。


そうなんだ。四人で一緒に勉強してるからって、四人とも同じ教科をやってるとは限らない。なのに星谷さんは、それぞれに同時に対応してくれる。そんな星谷さんも久々にうちに来て、三階で沙奈子たちの勉強を見てくれてた。


「こんにちは」


三階に上がる途中に『通路』から顔を覗かせて挨拶してくれた彼女は、すごく大人びていて、もうすでに大学生にはとても見えなかった。高校の頃からすごく大人びた印象だったけど、それがさらに進んでる。


決して『老けてる』って意味じゃないんだけど、僕と同年代と言われても違和感ないくらいには雰囲気があるんだ。



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